Oracleは米国時間9月9~12日、「Oracle CloudWorld 2024」と「SuiteWorld 2024」を米ラスベガスで開催している。同社は毎年両カンファレンスを別個で開催していたが、2024年は合同で行っている。
9月10日の基調講演には、創業者で最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison(ラリー・エリソン)氏が登壇。同9日に発表されたAmazon Web Services(AWS)との戦略的パートナーシップの締結について語った。
創業者でCTOのLarry Ellison氏
同パートナーシップでは、顧客がAWS内で専用インフラ上の「Oracle Autonomous Database」と「Oracle Exadata Database Service」にアクセスできるようにする新サービス「Oracle Database@AWS」の提供を発表した。同サービスの提供開始時期は2024年12月を予定している。
顧客はOracle Databaseにおける自社のデータをAmazon Elastic Compute Cloud「Amazon EC2」、データ分析サービス、生成AIサービス「Amazon Bedrock」を含むAWSのAIと機械学習(ML)サービス上で実行するアプリケーションにスムーズに接続できるようになる。
同サービスは、AWS上のOracleデータベースとアプリケーションの間に低遅延のネットワーク接続を提供する。これにより顧客は、AWSが提供するセキュリティ、俊敏性、柔軟性、持続可能性のメリットを享受しながら、Autonomous DatabaseとExadata Database Serviceのパフォーマンス、可用性、セキュリティ、コスト効率のメリットを享受できる(図1)。
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戦略的パートナーシップについて、Ellison氏は「Open MultiCloud Era Begins(オープンなマルチクラウド時代の幕開け)」と述べた。企業はインフラストラクチャーでは1~3社、アプリケーションではさまざまなベンダーのクラウドサービスを利用しているが、クラウド同士がうまく連動しないという課題がある。
企業は、オンプレミス上のExadata Database ServiceとアプリケーションをAWSに移行したり、Exadata Database ServiceをAWSの中で実行したりしたいというニーズを持っている。マルチクラウド向けのインターコネクト(相互接続)で連携可能だが、遅延などが懸念されるため、今回のパートナーシップの締結とOracle Database@AWSの提供に至ったという。
基調講演では、AWS 最高経営責任者(CEO)のMatt Garman(マット・ガーマン)氏がゲストとして登壇。Ellison氏は「われわれは多くの共通の顧客を持ち、これまで何度もAWSでOracleのデータベースを活用できるのかと聞かれてきた」と話し、Garman氏は「私も非常に興奮している。2つの選択肢をAWSの中で提供し、低遅延でデータベースとつなげたいという考えは素晴らしいと思う」と語った。
Ellison氏(左)、AWS CEOのMatt Garman氏
Ellison氏は「Oracleは現在、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のデータセンターをAWS、Google Cloud、Microsoft内に持つところにまで到達した」と感慨を述べた。日本市場では、富士通とソブリンクラウドの提供に向けて4月に戦略的協業を発表し、顧客のビジネス成長と社会課題の解決を支援する「Fujitsu Uvance」のサービス内容にクラウド事業者向けのカスタマイズ可能なInfrastructure as a service(IaaS)提供基盤「Oracle Alloy」を提供している。
主要クラウドサービス事業者との連携
(取材協力:日本オラクル)