Ctireoで最高プロダクト責任者(CPO)を務めるTodd Parsons氏は、同社の製品戦略と新製品の革新を推進しつつ、プラットフォームの多様化と変革に取り組む。広告技術とマーケティング技術の領域で約20年の経験を持つ。同氏に最新の業界動向を聞いた。
Parsons氏はまず、同社のミッションについて「ショッパージャーニー(顧客が商品を購入するまでの一連の過程や体験)全体を通じて、適切で有益な商品レコメンデーションを提供すること」だと改めて説明。これにより、ブランドパートナーははより効果的な広告の恩恵を受け、小売店や出版社のパートナーは拠点をより効率的に収益化できるようになる。
2025年については、「当社のステークホルダーと製品ポートフォリオ全体で、安全なAIやデータの活用がより盛況になる」と述べる。
「深層学習などの技術を活用して各ステークホルダーのファーストパーティーデータを効率的に処理し、適切なレコメンデーションを行うことが重要になる。この目標を達成するためには、トレーニングデータを尊重し、倫理的かつプライバシーを守りながら適用することが、データ提供者と消費者の満足につながる」(Parsons氏)
また、欧米では、複数の小売店やマーケットプレイス、ブランドが協力してAIモデルをトレーニングし、それぞれのレコメンデーションに活用するケースが出てきているという。
「この技術はまだ新興段階にあり、現在は初期の採用段階だ。しかし、2025年にはその実践が大きく加速することが期待されている。Criteoのような企業がプライバシーを保証し、信頼性の高いモデル出力を提供するツールやソリューションを提供することが重要だ」(Parsons氏)
一方で、急成長中のオンライン広告市場では、消費者のプライバシーやデータセキュリティなど、多くの課題に直面している。また、消費者が商品の発見、検討、購入に利用する全てのタッチポイントで、データをどのように安全に展開するかを考慮しなければならない。Parsons氏は、(1)データの確保、(2)データの適切な配布、(3)断片化されたタッチポイントでの正確なレコメンデーション――という課題を解決する必要があると指摘した。
現在、Criteoでは、レコメンデーションの質や検索フィード、ディスプレイ広告のランク付けなどにAI技術を活用しているという。また、リテールメディアネットワークを横断して、広告を継続的に計画、購入、測定できる仕組みにも取り組んでいる。「小売企業が収益を上げながら、質の高い顧客体験を提供できることが重要だ」とParsons氏は話す。
また、生成AIを活用したチャットボット内での広告配信も進めている。「チャットボットでスポンサー付きの製品リストやレコメンデーションを目にするようになるだろう」(同氏)

Ctireo 最高プロダクト責任者(CPO)のTodd Parsons氏