札幌市は、基幹業務システムのモダン化に向け、ガバメントクラウドとして「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を採用した。日本オラクルが4月2日に発表した。
札幌市は2023年、「地方公共団体情報システム標準化」の一環として、ガバメントクラウド利用を推進するため、札幌総合情報センター(SNET)改修による標準準拠パッケージを採用し、OCIを選定した。2025年から移行を開始し、将来的なアプリケーションのモダン化を目指す。
今回、札幌市がOCIを採用した主な理由として3点が挙げられた。
1点目は、OCIの課金形態が円建てであり、ほかのクラウドサービスと比較してコスト効率が高いこと。2点目は、OCIのデータベースアーキテクチャーが、既存の「Oracle Exadata」および「Oracle Database」と高い互換性を持ち、移行期間を短縮できること。3点目は、日本オラクルのコンサルティングサービス部門が大規模ミッションクリティカルシステムに関するノウハウを利用できることだ。
札幌市は、基幹業務システムの刷新を喫緊の課題としていた。2010年度から汎用(はんよう)機の老朽化とシステムの複雑化により維持費用が増加したため、システムの再構築を計画した。
再構築に当たっては、オープンで中立的な技術を使用し、発注者の主体性を確保する方針を掲げ、SNETとソフトウェア利用契約を締結した。その上で住民基本台帳、税、保険、福祉など多岐にわたる分野の基幹系システムを刷新した。この過程で、オラクルのデータベースプラットフォーム「Oracle Exadata Database Machine」を採用し、2012年7月から新基幹系情報システムの共通基盤として稼働している。
札幌市デジタル戦略推進局情報システム部は、OCIを採用することで、既存システムとの高い親和性とコスト削減を両立し、より迅速な移行を期待できるとしている。またSNET情報システム事業本部では、ガバメントクラウドへの移行後、現在の品質を維持するためには、Oracle Exadataの継続利用と日本オラクルのコンサルティング力が不可欠としている。