リコー、企業経営者のデジタルクローンを提供---AIで理念浸透と社員教育を支援

NO BUDGET

2025-04-14 12:07

 リコーは4月11日、企業経営者本人をモデルにしたデジタルクローンの提供を開始したと発表した。第一弾として、デジタルトランスフォーメーション(DX)ソリューションを提供する久永の代表取締役社長である久永修平氏をモデルに3Dモデルを作成。3月21日に開催された久永の創立105周年記念イベントでは、このデジタルクローンが久永社長の声で今後の抱負を来場者に語りかけた。

リコーが提供した、久永社長のデジタルクローンの3Dモデル
リコーが提供した、久永社長のデジタルクローンの3Dモデル

 リコーは今後、この3Dモデルと久永社長の考え方などを学習させたAIを連携させ、社長の代わりとして社員や顧客と対話できるデジタルクローン型AIエージェントの開発を目指す。デジタルクローンは、経営者の考え方や経営理念を学習し、容姿も似せたAI搭載の3Dモデルとして、経営者の分身として社員や顧客とのコミュニケーションや社員教育を強化する役割が期待されている。

 久永は、「測る・量る・計る・図る」を軸にDXソリューションを提供する企業。企業規模拡大に伴う経営理念の浸透や経営層と社員のコミュニケーション強化、事業形態の変化に伴う顧客への認知度向上が課題となっていた。今回作成されたデジタルクローンは、社員とのコミュニケーションツールとして活用される予定で、105周年の記念イベントでは、幅広い事業での貢献とAI活用の今後のチャレンジとして紹介された。

 リコーは、久永社長の「トップ自ら率先して先進的な取り組みを示す」という意向を受け、デジタルクローンを製作。久永社長の全身を360度から撮影し、AIを活用して200枚以上の画像データから高精細な3Dモデルを作成した。動画は、リコーの次世代会議空間「RICOH PRISM」で撮影され、モーションキャプチャーされたモデリングデータを投影することで、没入感のある映像が実現した。

 デジタルクローンの活用例として、プロモーションやリクルート活動用の動画、ウェブサイトやSNSへの掲載などが挙げられている。また応接ルームでの展示、社員教育ツール、アイデア活性化ツール、社員からの質問への回答、簡易的な相談ツール、受付・案内業務などにも活用できる。

 リコーは1990年代からAI開発に取り組み、2015年からは画像認識技術を生かした深層学習AI、2020年からは自然言語処理技術を活用した「仕事のAI」を提供してきた。2022年からは大規模言語モデル(LLM)の研究・開発に注力している。また音声認識AIの研究開発も推進しており、音声対話機能を備えたAIエージェントの提供も開始している。

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