アクセンチュアは4月15日、同社の「AI Refinery」プラットフォームに新しく「AIエージェントビルダー」を追加したと発表した。企業や組織によるAIエージェントの導入を加速し、業界固有のビジネスプロセス変革を支援する。
このツールにより、プログラミング知識を持たないビジネスユーザーでも、高度な推論機能を備えたAIエージェントを迅速に構築し、必要に応じてカスタマイズ可能になる。併せて、NVIDIAの技術を活用した業界特化型AIエージェントソリューションを拡充し、企業のAI活用を強力に推進する。
新機能であるAIエージェントビルダーは、インデックス作成を不要としつつ、高度な推論能力を持つAIエージェントの作成を可能にする。ビジネスユーザーは、ポリシー変更、新製品投入、市場の反応、需要変動といったビジネス環境の変化に対し、プラットフォーム上のガバナンスやガードレールの範囲内で、数クリックの操作でAIエージェントを迅速に変更・調整できる。これにより、現場主導での柔軟かつ迅速な対応が実現する。
アクセンチュアはまた、「NVIDIA AI Enterprise」上で利用可能な「NVIDIA NIM」や「NVIDIA Llama Nemotron AIモデル」といった推論マイクロサービスを活用し、業界特化型のAIエージェントソリューションの開発を加速している。現在、50を超えるソリューションが既に開発されており、2025年末までにはそのラインアップを100以上にすることを目標としている。これらのソリューションによって、AIエージェントは自律的に動作し、より正確で透明性の高い意思決定を行うことが可能となり、プロセスの合理化と効率向上が実現される。対象とする業界は、通信、金融サービス、保険、製造、ヘルスケア、小売など多岐にわたる。
例えば、通信業界のコールセンター業務においては、オペレーターが必要な情報に迅速にアクセスできるよう支援することで、問い合わせ対応から処理までの時間を25分の1に短縮し、通話効率を2.6倍に、正確性を24%向上させることが期待されている。保険業界の引受業務においては、手入力に依存していたプロセスを自動化し、従来は困難であった提出内容の100%の読み取り・処理を目指す。企業の財務管理業務では、注文から入金までのプロセスを自動化し、意思決定を強化する。銀行の証券取引業務では、データ抽出やルールベースの意思決定を自動化し、担当者を支援する。
既に、スポーツ専門チャンネルのESPN、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、ビューティーテックスタートアップのNoli、国際連合などの企業や組織がAI Refineryを活用している。
ESPNはアクセンチュアと協力し、ファン体験向上のためのAIアバター「FACTS」を検証中だ。HPEは自社の「HPE Private Cloud AI」と組み合わせて調達・支出管理などを効率化するソリューションを開発している。NoliはAI駆動型の美容ショッピングプラットフォームを構築・運営。国際連合は、持続可能な経済成長を支援するため、150以上の言語に対応する多言語調査エージェントを開発している。
アクセンチュアの最新調査によると、企業の3分の1以上が、リスク管理や研究開発といった主要プロセスにおいて、業界特化型のAIソリューションを少なくとも1つ導入しており、これらの組織は期待を超える投資対効果(ROI)を実現する可能性が3倍高いという。
アクセンチュアは、AIエージェントを次世代AIの中核技術と位置付け、NVIDIAとの協力を通じて、企業がインテリジェントな「デジタルチームメイト」を活用し、生産性向上とビジネス価値創出を実現できるよう支援していく。日本市場においては、既存の「Accenture AI HUBプラットフォーム」に加え、AI Refineryを含む最新技術を最適に組み合わせたソリューションを展開していく方針だ。