三菱UFJ銀行は、個人向けインターネットバンキングサービス「三菱UFJダイレクト」のシステム基盤を刷新し、日本オラクルの「Oracle Exadata Database Machine」などを採用した。これにより、処理速度は約5倍に向上し、安定稼働を実現しているという。日本オラクルが4月22日に発表した。
三菱UFJダイレクトは1000万人以上の利用者を抱え、同行の成長戦略において中核的なサービスと位置付けられている。今回の基盤刷新は、デジタルを活用した顧客エンゲージメント向上を目的とした取り組みの一環である。具体的には、将来的に現在の約5倍の取引処理を可能にするシステムへのモダナイズや、顧客ニーズへの迅速な対応を可能にするためのマイクロサービスアーキテクチャーへの移行、開発生産性の向上を目指した。なお、開発は三菱UFJインフォメーションテクノロジーが担当した。
刷新の背景には、2023年に保守サポートが終了する他社製ハードウェアの更新時期が迫っていたことが挙げられる。また、将来の取引量増加を見据えたリソース確保の必要性や、アプリケーションとインフラの効率的な設計への移行が求められていた。
数ある選択肢の中から「Oracle Exadata」が採用された理由は、コストメリット、柔軟性、そして高性能・高可用性の3点にある。同行によると、従来のシステム構成と比較した10年単位でのコスト試算で最も経済的であり、物理的な機器追加なしでCPUリソースを増強できる柔軟性が評価された。また、データベースの性能と可用性を最大限に引き出す設計思想「Oracle Maximum Availability Architecture(MAA)」により、三菱UFJダイレクトの安定稼働と拡張性が確保される点も決め手となった。
新しいシステム基盤では、従来利用していた「Oracle Real Application Clusters」に加え、データベースの自動同期機能を提供する「Oracle Data Guard」を新たに導入。これにより、高い性能と可用性を両立し、増加し続けるデータ処理量にも十分に対応できる強力な基盤を構築した。
同行は今後、検証環境で「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の「Oracle Base Database Service」や「Oracle Cloud VMware Solution」を利用して、OCIの評価を進める。将来的には、セキュリティ基準が高いシステムにおいて、ハイブリッドクラウドソリューションである「Oracle Exadata Cloud@Customer」の各種システムへの適用も検討しており、ミッションクリティカルな領域での活用をオラクルと共に進めていく方針だ。