日本企業のAI活用を支える--デル、新体制やITインフラ製品を説明

國谷武史 (編集部)

2025-04-28 06:00

 デル・テクノロジーズは4月25日、日本の顧客企業でのAI活用を支援する体制やITインフラ製品に関する最新動向の説明会を開催した。グローバルと日本の状況を踏まえた新体制の構築やAI時代に即した製品の提供に取り組んでいる。

デル・テクノロジーズ UDS営業本部長 兼 AI事業推進部長の五十嵐修平氏
デル・テクノロジーズ UDS営業本部長 兼 AI事業推進部長の五十嵐修平氏

 まず登壇したUDS営業本部長 兼 AI事業推進部長の五十嵐修平氏は、同社ではAIをデータの力を引き出すために必要な技術と定義していると述べ、企業が業務の効率化や事業変革、顧客体験の向上といった成果を獲得できるようAIの戦略を推進していると説明した。

 また、「われわれはAIプラットフォームのリーディングカンパニーと自負している」とも話し、同社自身でもAIの活用を製品開発やサプライチェーン、営業やサポートなど多様な業務で実践しているとし、その経験を顧客提供価値につなげているとする。

 同社は、AI時代の到来に備えて「DELL AI FACTORY」というフレームワークを提示する。データからAIを活用して価値を得るユースケースを実現していくサービス、エコシステム、インフラストラクチャーを定義。これにより顧客企業でのAI活用支援に取り組む中で、2024年には、グローバルでのAI推進組織を構築したという。

AIビジネス推進体制のイメージ(説明会資料より)
AIビジネス推進体制のイメージ(説明会資料より)

 この組織では、グローバルでのAIに関する知見を集約し、それを各市場の状況に即したローカライズを担う。さらに、日本法人独自の取り組みで、日本市場を理解したAIビジネス推進体制を構築した。日本の組織はグローバル組織と連携しながら、AIの価値を実現する企業顧客へのソリューションの開発やローカライズ、AI活用事例の共有、AI利用のサポートなどに取り組み、五十嵐氏は、この推進組織による日本の顧客支援に注力していきたいと語った。

 続いて執行役員 インフラストラクチャー・ソリューションズSE統括本部長の森山輝彦氏がITインフラ製品の最新の状況を解説した。

デル・テクノロジーズ 執行役員 インフラストラクチャー・ソリューションズSE統括本部長の森山輝彦氏
デル・テクノロジーズ 執行役員 インフラストラクチャー・ソリューションズSE統括本部長の森山輝彦氏

 森山氏は、AIの利用拡大により、特にAIのワークロードを実行するデータセンターが多くの課題に直面していると指摘。GPUサーバーの導入や電力消費、冷却などのコストの増大、AIのみならず従来型のワークロードも同時並行で稼働することによる運用管理の複雑化、AIの“源泉”たるデータを狙うサイバーの脅威があるとした。

 これらに対してITインフラの観点では、「シンプル」「モダナイズ」がキーワードになると森山氏。同社では、エネルギー効率に優れたインフラの提供、運用を簡略化する仕組み、ゼロトラストセキュリティに基づくデータ保護を実現する製品の開発、提供に注力しているとした。

 森山氏は、最新のITインフラおいて同社では「分離型アーキテクチャー」を提唱していると説明する。これは、サーバー・ストレージ・ネットワークの3層構造のアーキテクチャーがオープンで柔軟性の高いITインフラを実現した一方、構成や運用管理の複雑化の問題を伴い、それを解決するためにソフトウェア定義型(SDx)に基づくハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)が生まれた。これで複雑性を低減したが、他方でベンダーロックインのサイロ化をもたらした。

 そこで分離型アーキテクチャーは、HCIでの高い運用性と3層構造でのリソースの柔軟性を両立させるという。AI活用のさらなる拡大を見据えた場合に、ITインフラでは最新の仕組みとシンプルな運用性を維持しつつ、AIのワークロードの増加へ柔軟にリソースを拡張していけることが重要だという。

AI時代へのストレージアーキテクチャーの変遷(説明会資料より)
AI時代へのストレージアーキテクチャーの変遷(説明会資料より)

 ITインフラの各種製品は、「PowerEdge」サーバーでは最新の第17世代で高効率・高性能を特徴に水冷などの新しい冷却方式に対応したほか、ラックでは72ノードの高密度実装を可能とする「M7725」を提供している。

 ストレージでは、3月にリリースした管理ソフトウェアの最新版「PowerStore 4.1」でAIによる運用の簡素化を図り、例えば、監視データによりAIで予知保全をサポートしたり、性能変化を予測したりできるようにしている。セキュリティ面では、米国防総省が定める要件にも準拠しているとした。

 また、オブジェクトストレージの「Dell ObjectScale」では、Wasabiのクラウドストレージサービスと連携したコスト効率に優れるデータの保存、ファイル/オブジェクト統合ストレージの「Dell PowerScale」では、最大122TBのNVMe SSDによる大容量・高性能を実現し、メタデータ管理によるファイルアクセスの高速化も図った。

 データ保護の「PowerProtect」では、エントリーモデルの投入による経済効率性を高めたデータバックアップを可能とし、管理ソフトの「Data Manager」でバックアップデータの異常検知などセキュリティ脅威への対策を強化している。

 デルは、2024年10月に東京本社内に顧客やパートナーへAIのユースケース紹介や技術検証などができる「Solution Center for AI Innovation Lab」を開設。これまでに延べ200社以上の1800人以上が来場しているという。

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