ZDNet JapanおよびTechRepublic Japan主催、AWS Partner Network協賛で、クラウドの中心的存在である「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」をテーマにした5週連続セミナーが開催された。2017年7月26日に行われ第5回のテーマは「データベース」。関連企業が登壇したセッションでは、データベースのAWS移行について知っておくべき要点や利用すべきツールなどが紹介された。ここではその内容をレポートする。
クラスメソッド:データベースの移行で押さえるべきポイント
クラスメソッド
AWS事業部 部長
佐々木大輔氏
クラスメソッドのセッションでは、AWS事業部の佐々木大輔氏が登壇。「クラウドを活用したデータベース移行と、ビジネスを止めないAWSインフラ環境の事例について」と題する講演を行った。同社は、AWSの専門分野で習熟した技術と経験を持つパートナーで、AWSマイグレーション、AWSビッグデータなどのコンピテンシー認定を取得している。データベース移行の実績も豊富だ。
例えばSBギフトのケースでは、既存データベースからAmazon Aurora(Aurora)へのデータ移行で「AWS Database Migration Service(DMS)」を使って容易で高速なデータ移行を支援。また、産経デジタルのケースでは、データベースエンジンをOracle DatabaseからMySQLへ、MySQLからAuroraへと段階的に移行させて信頼性を担保した。アットホームのケースでは、当時ベータ版だったDMSの評価をサポート、AWSと連携して開発チームにフィードバックを行った。
「データベースのクラウド移行では、情報セキュリティポリシーの扱い、付随するシステムへの変更、停止時間やデータ損失のリスクなどを考慮することがポイントです」(佐々木氏)
必要な情報の洗い出しから始める
データベースをクラウドに移行する際の「あるべき姿」は、オールインクラウドだ。すべてを移行することで、ハイブリッド構成の際のレイテンシや管理コストを下げ、スケーラビリティを確保することができる。
実際の移行にあたっては、必要な情報の洗い出しから始める。ポイントは、情報セキュリティポリシーの確認、移行元データベースの調査、移行先データベースの選定、移行先データベースのRDBエンジンの選定だ。
「Oracle Databaseからの移行先としてはAuroraが選定されることが多いです。MySQL 5.6互換のフルマネージドサービスで、PostgreSQLエンジンのプレビューも始まっているので今後、移行が加速するでしょう」(佐々木氏)
移行方法としては、データの一括移行、マスターデータを先に移行する段階移行、レプリケーションツールなどを使った同期移行がある。AWSが提供するツールにはDMSやスキーマ変換ツール(SCT)がある。
佐々木氏は「DMSを利用する場合に重要なのは、検証環境を用意して試すこと、データ移行が正常に行われたかを確認する方法を決めておくこと、DMS/SCTの制限事項や使い方についてドキュメントをよく読むことです」とアドバイスした。