インメモリ機能の活用で変わる、事業戦略やユーザー体験

SBIリクイディティ・マーケット代表取締役社長重光達雄氏
このインメモリ機能を活用した事例として最初に紹介されたのは、FX取引のマーケットプロバイダーであるSBIリクイディティ・マーケットのケースだ。同社のFX年間取引額は610兆円に上るという。同社代表取締役社長の重光達雄氏によると、FX取引システムにSQL Server 2014のインメモリOLTPエンジンを適用したことで、SQL Server 2008R2を基盤とした既存システムに対し、トランザクション性能が30倍に向上したという。「これまで丸1日かかっていた処理がほぼリアルタイムで可能になり、迅速な分析ができるようになった」(重光氏)

gloopsソーシャルゲーム事業本部システム基盤部マネジャー大和屋貴仁氏
次に紹介されたのは、ソーシャルゲームの開発・運営を行うgloopsの事例。同社は、SQL Server 2014のインメモリ列ストア機能を活用している。同社マネジャーの大和屋貴仁氏は次のように語る。
「インメモリ列ストアを利用することで、55GBあったテーブルが約20分の1の2.8GBに圧縮された。これに伴いI/O負荷も大幅に低減し、処理時間も短縮。以前は12分かかっていたランキング生成処理がわずか3秒で完了するようになり、ユーザーのゲーム体験を向上させることができた」
このほか、インメモリ機能の事例としては、花王のケースも紹介された。数十億レコードという膨大なデータの処理に悩まされていた同社だが、SQL Server 2014のインメモリ機能によるトランザクションと集計の高速化により、大量かつ、多種類のデータから顧客の指向を分析し、商品開発に役立てることが可能になったという。
インメモリ機能については、日本マイクロソフトのジニアス平井氏によるデモも行われた。インメモリOLTPエンジンのデモでは、2万件のレコード挿入で従来比約62倍、更新で約48倍という圧倒的な高速性が示された。また、インメモリ列ストアのデモでは、3,000万件のネットワークログの並べ替えを実行。約10倍の高速化が得られるほか、11GBのデータが1GB以下に圧縮される様子が実演された。
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Azure連携の強化でDRサイトの構築が容易に
次のキーワード、「ハイブリッドクラウド」については、強化されたMicrosoft Azureとの連携機能が紹介された。
「マイクロソフトのデータプラットフォームはデータが発生する場所やデータの形式にかかわらず、処理するためのコンポーネントを備えている。オンプレミスのデータをクラウドで分析することや、逆にクラウドのデータをオンプレミスで処理することも可能。SQL Server 2014では、クラウドにバックアップを取ったり、DR(ディザスタリカバリ)サイトを構築したりするための機能も強化されている」(沼本氏)

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