小中高生を対象とした学習・受験指導で首都圏を中心に約140の教室を有する市進はNECと共同で、生徒に関する情報管理や内部統制の強化とTCOの削減を目的に、仮想PC型シンクライアントシステム「VirtualPCCenter」を導入したと発表した。同システムは3月より稼動を開始する。
シンクライアントシステムは、端末内にデータやソフトウェアを一切保存せず、サーバで集中管理、一括運用することが可能になる。また、VirtualPCCenterでは仮想化技術を用いており、利用者一人一人の異なるPC環境(データやソフトウェアなど)をサーバ上に集約して稼動させ、サーバのCPUやメモリなどのリソース(資源)を端末利用者の負荷に応じて自動的に割り振ることができる。加えて、運用性、可用性を向上する運用管理機能を持つとする。
市進は4万2000人以上の生徒を有し、生徒の住所や成績等の個人情報を扱っているという。これまで、各教室に設置したPCを用いて、運用ルールに則った個人情報の管理を行っていたが、生徒や職員の増加に伴い、より高度なセキュリティ環境下で個人情報を効率的に管理したいというニーズが高まり、新システムの導入に至ったと経緯を説明する。
市進が導入したシンクライアントシステムでは、NEC製シンクライアント端末「US110E」、仮想PCサーバ「Express5800/R120a-1」6台、管理サーバ「Express5800/R120a-2」1台がシステムの中核となる。US110Eは、約100の教室に合計220台導入されており、これまで各教室のPCで管理していた生徒の住所や成績などの個人情報を、市進のシステム開発室内に設置したサーバ上の仮想PCで集中管理できるようになっている。各教室のシンクライアント端末から仮想PCを操作することで、従来の利便性を損ねず情報の閲覧、加工、分析が可能という。また、データの持ち出しや端末へのダウンロードは行えないため、情報漏えいを防止できるとしている。
TCO削減の面では、これまで教室ごとに行っていた環境設定やセキュリティパッチ適用などのPCの管理がサーバ側で一括して実行可能となるほか、現行システムと比較して約40%の消費電力を削減できると見込んでいるという。
NECでは、この導入実績をふまえ、今後も、企業のセキュリティ環境、内部統制、事業継続(BC)基盤の強化やシステムのTCO削減などを実現するシンクライアントシステムの提供を加速していくとしている。
