Microsoft製品を利用する100社以上の有力開発者らが、同社に対し「クラシック」版Visual Basicのサポートを終了する計画の再考を求める嘆願書を提出した。
これらの開発者は、デベロッパーコミュニティの有力メンバーが加盟を認められるMicrosoftのMost Valuable Professional(MVP)プログラムの会員だが、今回の嘆願書のなかでVisual Basicのサポート終了は、膨大な数にのぼるVisual Basic 6(VB6)アプリケーションの開発や、新しい言語を修得していない「取り残された」プログラマーの今後に大きなマイナスの影響を与えると主張している。
Microsoftは、Visual Basic 6の標準サポートを今月末で終了し、無償の障害サポートや緊急アップデートも終了するとしている。ただし、両サービスとも今後3年間は有償で提供されることになる。
しかしMVPは、Microsoftに対して、VB6のサポートオプションを再検討するだけでなく、新しいVisual Basic.NETと並行してVB6の開発を継続することも求めている。
「Visual Studio IDEの一部としてCOMをベースにしたVisual Basicの新バージョンを提供することは、クライアントがすでに保有しているコードの価値を維持するのに役立ち、コアのVisual Basic言語に対するMicrosoftの意気込みを明らかに示し、さらにVB.NETの導入を望むクライアントによる移行作業の大幅な簡略化につながる。コードを.NETに移行する時期と方法は、顧客の判断に委ねられるべきだ」(同嘆願書)
異議を唱える開発者らによると、問題は、MicrosoftがVisual Basic.NET(あるいはVisual Basic 7)をVB6の後継にした際、同社が1つの言語を切り捨て、これを根本的に異なるものと入れ替えてしまったことにあるという。これらの開発者は、VB6アプリケーションをVB.NETに移行することは事実上不可能で、VB6を利用する開発者にとってVB.NETを学習することは、完全に新しいプログラミング言語を学習するのに等しいと述べている。
「Visual Basic.NETとVisual Basicの共通点は名前だけだ」と、ライターでソフトウェア開発者でもあるRich Levinは、先ごろあるブログにそう書き込んでいる。「コンサルタント、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)、企業内のIT部門、企業、学校、政府など、Visual Basicのコードに投資している組織では、VBを使った既存のアプリケーション開発を凍結したり、自らのアプリケーションをゼロから書き直すため、事実上すべての時間、労力、知的財産、費用の再投資を余儀なくされている」(Levin)
Microsoftは.NET版であるC#と並行してC++の開発を継続しているが、この嘆願書には「クラシック」版Visual BasicとVB.NETについても同様にすべきだ、と書かれている。
Microsoftは2000年にVB.NETを発売したが、それ以来VB6やさらに前のバージョンを利用する開発者の数は一定して減少してきている。ただし、VB6から離れていった開発者の多くは、JavaなどMicrosoft以外の開発環境に移行しており、VB.NETには移っていないとする調査結果も複数出されている。たとえば、調査会社のEvans Dataが2004年11月に欧州/中東/アフリカの開発者を対象に実施した調査によると、2003年以来これらの地域では Visual Basicを利用する開発者の数が25%も減少しているという。
北米市場ではVisual Basic開発者が引き続きVB6やさらに前のバージョンを利用しており、これらの開発者の割合は全体の45%に上る一方、Visual Basic.NETの利用者は34%に留まっている。なお、北米の開発者全体のうちVisual Basic利用者が占める割合は54%となっている。