グラフィックソフトウェア大手のAdobe Systemsは、同社の商用製品のコンポーネントをオープンソースソフトウェアとしてリリースした。このコンポーネントは、重要だが退屈なプログラミングの手間を一部軽減するものだ。
Adobeがリリースしたのは「Adam」と「Eve」という2つのパッケージで、同社ではこれらをソフトウェアのインターフェースづくりに利用している。両パッケージは先週、Adobeのウェブサイトで公開された。
Adobeは、AdamとEveのリリースについて、「多くのものをもたらしてくれたオープンソース開発コミュニティに報いるため」であり、他者の協力を得て同パッケージを改善していくためだと述べている。
Adobe製品の大半はオープンソースではないが、同社は少しずつオープンソース分野に歩み寄りつつある。現在、Adobeの主要製品はWindowsとMac OSでしか動作しないが、同社は2004年にLinuxを本格的に視野に入れ始めた。PDF(Portable Document Format)ファイルを閲覧するためのプログラム「Adobe Reader」の最新ベータ版は、Linux向けにもリリースされている。
AdamとEveは、ほかのソフトウェアパッケージでも使用可能なライブラリだ。このうちEveは、ダイアログボックスなどの要素を簡単につくれるようにするもので、これらの要素の表示位置をコンピュータが管理できるようにする機能もある。一方Adamは、状況の変化に応じてインターフェースにつかわれた要素を自動的に修正する。
「ソフトウェアエンジニアに一番イヤな作業は何かと尋ねれば、かならず『ヒューマンインターフェースの構築』という答えが返ってくるだろう」とAdobeは指摘し、Eveを利用したとしてもこの作業は面倒だと認めている。同社はまた、「Adobeのアプリケーションでは、ある機能を実装するために必要とされるコードの約3分の1がヒューマンインターフェース関連のものだ」と述べている。
Adobeによると、Eveは「Adobe Photoshop 5」でプロトタイプが初めて採用され、現在ではEve2にバージョンアップしているという。Adamも、複数のAdobeプログラムでの採用が進んでいる。どちらもどのオペレーティングシステムでも利用可能だ。
現在Adobe Software Technology Labでは「Adobe Source Libraries」(ASL)という大規模なソフトウェア関連の取り組みが進んでおり、AdamとEveの公開はこの取り組みの一環となる。なお、ASLソフトウェアは「MIT License」というリベラルなオープンソースライセンスの適用を受ける。
Adobeはさらに、XMP標準関連のソフトウェアを発表することを明らかにした。XMPはファイルを規定する「メタデータ」をファイルに直接埋め込むための標準だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。