インテルが4月19日にWiMAX対応チップ「インテル PRO/Wireless 5116 ブロードバンド・インターフェース」の出荷を開始したことに続き、富士通が海外でWiMAX対応のLSI「MB87M3400」を出荷開始した。富士通の米国関連会社で、WiMAX Forum設立メンバーの1社でもあるFujitsu Microelectronics America(FMA)が米国時間4月21日に発表したものだ。
WiMAXは、最大データレート75Mbps、実用最大伝送距離10〜20km程度のワイヤレスブロードバンド通信規格。1つのアンテナで広範囲をカバーできるため、移動しながらの通信サービスや、通信速度が十分に出ない地域でのDSLサービスに代わるものとして注目されている。
FMAが開発したWiMAX対応LSIは、IEEE802.16-2004(IEEE802.16d)規格に準拠しており、家庭内やビル内で使用する固定無線ブロードバンド通信向けとなっている。PHY(物理層)やMAC(データリンク層)機能、暗号処理、無線コントローラなどが1つのチップ内に搭載されており、基地局と端末機器の双方で利用できるものだ。
富士通では、今回発表したチップは海外における出荷のみで、「日本での出荷は現時点で未定だ」としている。日本での出荷が未定となっているのは、WiMAX Forumの推奨する2.5GHz帯、3.5GHz帯、5.8GHz帯という周波数帯が日本でWiMAX用に割り当てられていないためだ。富士通では、「まず需要が高まっている海外で出荷を開始する」としている。
なお、インテルが4月19日に発表したチップは、「受注があれば日本での入手も可能だ」(インテル)と言う。しかし、実際にWiMAXチップを採用した製品を日本で提供するとなると、周波数帯などの課題をクリアしなくてはならない。ただ、鷹山がWiMAXを採用した無線通信サービスを開始する準備を進めている動きなどもある。こうした国内の動きの一方で、インテル 広報室によると、「海外では年内にインテルのWiMAXチップを採用したソリューションが多数の機器メーカーより発表される予定だ」という。
価格は、富士通製のチップが1000個の受注時の単価が45ドル、インテル製のチップが同47ドルとなっている。