ダン・ブリックリン、今度は自ら出演するDVDを発売

David Berlind

2005-05-16 19:40

 IT業界の先駆者であるDan Bricklinが新商品を出したときは、ダウンロードかCDでその商品を手に入れるのが普通だが、今回はちょっと違う。同氏は、いつものような画期的なソフトウェアではなく、ソフトウェアライセンスの基本について自分自身が出演して語るDVD「A Developer's Introduction to Copyright and Open Source」を発売した。同氏はDVDのなかで、オープンソースについてかなりの時間を割いて説明している。

 このDVDはソフトウェアのライセンスや著作権についてあまり馴染みのない開発者に格好の内容になっている。オープンソースについて知り尽くしていると自負する人も、Bricklinが挙げる具体的な例を通していくつか貴重な知識を得られるはずだ。たとえば同氏は(MITライセンスなどの)アカデミック・ライセンスの中には、Free Software FoundationのGNU General Public Licenseよりもよっぽど制限が緩やかなものがあることや、そのことがライセンスの所有者とライセンスを受ける人にとってどんな意味を持つのかを解説している。また、(Linus TorvaldsがLinuxで行ったように)ソフトウェアの開発者が、定型的なライセンス条項ではカバーできないライセンシングの特記事項を明確にするために、コードについて追加の開示条件を含めることがある点についても説明している。また、このDVDでは、「二次的著作物」や「正当使用」の概念、「アイデア」と「アイデアの表現」の違いが説明されるだけでなく、オープンソース・ライセンスで縛られているソースコードを除けば、個人や企業は著作権の所有者と独自条件の適用を交渉することが可能であることなども紹介されている。このDVDを見れば、ITマネージャや開発者がソフトウェアライセンスや著作権法に十分な注意を払わなかった場合に、企業がどれだけ大きな法的リスクを負わされるかが、よく分かる。

 オープンソースのエキスパートだ自負する人のなかには、このDVDについて、内容があまりに初歩的だと思う人もいるかもしれない。だが、私はこのビデオを一通り見て、これは人事部に見せられるトレーニングビデオのようなものではないか、と思った。企業は社員教育の一環としてセクシャル・ハラスメントのビデオをよく社員に見せるが、ほとんどの人はセクシャル・ハラスメントに関してやっていいこととやってはいけないことは既に知っているし、それについて毎年ビデオを見て再教育を受ける必要はないと思っている。だが、会社が何を許して何を許さないか、個人の権利を尊重しながらも会社がリスクにさらされるのを最小限に抑えることがなぜ重要なのかについて、ビデオを見ることによって社員は認識を新たにすることができる。(セクシャル・ハラスメントをしないように注意を徹底することと同じくらい)他人の著作権を尊重することも重要である(尊重しないとどうなるかも分かっていなければならない)。そのため、企業は次の2つの目的でBricklinのDVDを毎年利用できると私は考える。まず、このDVDは、ソフトウェアの著作権とライセンスについて基本を学ぶ必要がある人たちへの入門ビデオとして使うことができる。そして私の考えるもう1つの目的は、会社が著作権に関して厳格に対処すること、そして、ソフトウェア開発と使用に関して社員が忘れてはならない方針や指針が存在することを、社員に再認識させるためのツールとして利用することだ。

 DVDの価格は695ドル。うっかり著作権を侵害してしまった場合に受けるであろうダメージ(あるいは、著作権の侵害が発覚した後に、ダメージを避けるために費やさなければならない様々なリソース)に比べれば、はした金だ。Bricklinのウェブサイトには、DVDからの抜粋や購入方法が掲載されている。購入者は、DVDを企業のトレーニングクラスで見せたり、プロフェッショナル・サービス企業がクライアントに見せたりすることはできるが、一般大衆向けに公開したり、オンラインで見せたりすることは禁じられている。ビデオのクオリティは非常に良く、最後に、Bricklinが自分のワンマンスタジオでこのビデオを作るのにどんな製品を使ったかも紹介されている。

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