Bain & Co.が「マネジメントツールとトレンド2005」というアンケート調査を行った。この中には、IT部門とビジネス部門との関係について、それぞれの部門のマネージャに対するかなり鋭い質問が含まれていた。Ed Coneが書いたCIO Insightの記事によると、この調査ではちょっと驚くような結果が出たという。例えば、回答者の60%は、ITの支出項目はビジネス目標と完全に一致していると答えている。これが支出ではなく、その成果はどうだったかという質問だったら、この数字はもっと低かっただろう。このアンケートを見ると、多くのビジネスマネージャは、ITが重要だとは言いつつも、自分の会社のIT部門が能力不足だと考えていることが分かる。「IT部門は仕事ができないと言うけれど、それは一体誰の責任なんだ?」と私は聞きたい。私が個人的に書いているブログ「Technometria」のサブタイトルは「Organizations Get the IT They Deserve」(「ITのレベルで分かる組織の実力」)である。このアンケートの結果こそ、それを具現化したもののように思える。
IT部門がうまく機能していない場合、2つの理由が考えられる。確かにIT部門が能力不足のこともある。また、マネジメントによって掲げられた目標を達成するために必要なリソースが、IT部門に与えられていないこともある。私も、CIOを交代させた結果、IT部門の能力が劇的に向上したケースも何件か目撃している。ある事例では、配置転換の対象になった人物はCIOとしての資質に欠けていた。逆に、優秀なCIOだった人物が、マネジメントの信頼を失ってしまったために交代させられたケースもあった。いずれにしても、IT部門がうまく機能していないと感じたら、まずは問題の存在を認めること。そして次に、大変な作業ではあるが、CIOの交代を実行することだ。
一方、何度CIOを入れ替えても何も変わらない場合には、リーダーシップが問題なのではなく、CIOに与えられた仕事環境に問題があるのかもしれないと考えるべきだ。経営陣は口では「ITを信じる」と言うかもしれないが、実際のところはITのことを十分に理解していない可能性もある。それゆえ、IT部門がきちんと機能するうえで必要なビジネス風土や財務モデルを構築できずにいるかもしれない。CEOがIT部門の言うことをまったく信頼しないので、CIOがどんなに一生懸命説明しても、彼のメッセージは経営陣の片方の耳からもう片方の耳へと通り抜けてしまう。こうなったら、取締役会が新しいCEOを探す時期に来ているのかもしれない。