シカゴ発--ある情報技術が主流になったかどうかを知る最も明確な手がかりは、それが「ファーミング(pharming)」などのセキュリティ攻撃の的となっているかどうかだ。
低コストで人々の関心を集めているVoIP通話サービスが、実際にはオンライン攻撃の標的となっており、通話の盗聴、VoIPサービスへのアクセス妨害、クリッピングと呼ばれるサービスの質の低下が、一部のアカウントで発生していることを、Supercomm 2005に集まった企業幹部らが明らかにした。
今年1月に、調査会社のHarris Interactiveは、インターネット電話のことを知りながら利用していない米国の成人のうち、60%はインターネット電話がセキュリティやプライバシーの問題につながりかねないと考えているとする調査結果を発表した。それまでくすぶっていたVoIPのセキュリティに対する懸念が、この発表で一気に高まった。
VoIPのセキュリティの脆弱さは、同サービスが膨大なポテンシャルを持つことを際立たせると同時に、VoIPソフトウェアの成功を危うくするものでもある。全体で2億ある家庭/事業用回線のうち、約750万は従来の電話回線からVoIPに取り替えられた。さらに、調査会社Gartnerの予測によると、2008年までにVoIPを利用する家庭は2500万世帯に達するという。なかでも、月額20ドルで通話無制限といったプランはユーザーを惹きつける目玉になる。
VoIPは、電子メールと同じようにIPアドレス(ウェブに接続する各デバイスに割り当てられる固有の数字)を手がかりとして通話経路を探すことから、ハッカーの攻撃に対して脆い点が、同技術の欠点の1つに挙げられる。また、同サービスへの関心の高まりを利用しようとするVoIPプロバイダの数が急速に増加しているものの、その多くは通話の暗号化といった基本的なセキュリティ対策すら講じていない。
VoIPシステムへの攻撃に関する情報のほとんどは、まだホワイトペーパー上の事柄でしかないが、電話システムの統合を取り扱うBearingPoint Instituteによると、このサービスを利用している企業の中には既に攻撃を受けている企業もあると言う。しかし、その詳細は明かされなかった。
ベルリンのSnom Technologyの創業者で、Supercommのセキュリティサミットで講演を行ったChristian Stedickeは、「セキュリティがIP電話の普及の鍵を握る」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ