もし、あなたの電子メールに「Sender ID」のタグがついていないと、Microsoftにジャンクメール扱いされることになるかもしれない。
同社のCraig Spiezle(技術および安全グループのディレクター)が米国時間22日に語ったところによると、同社は11月ごろにHotmailとMSNでSender IDを導入する予定だという。この動きはSender IDの導入に拍車をかけるためのものだとSpiezleは説明するが、そうなった場合、送信元を証明するタグのないメッセージにはスパムの可能性を警告するフラグが立てられることになる。
Sender IDは、電子メールの送信元となったサーバの正当性を確認することで、その電子メールが正当なものであることを証明するための仕様。ジャンクメールを抑制するという同仕様の目的は賞賛に値するものだが、膨大な量のジャンクメールを阻止する方法についてはいまだに議論が続いている。Microsoftによると、現在スパムは電子メール全体の90%を占めているという。
Sender IDに対して批評的な人々は、Microsoftが開発した技術を含むこの仕様について、標準として受け入れられておらず、しかも欠点も多いと述べている。また、Yahooの「DomainKeys」のように、Sender IDと競合する技術もある。
「Microsoftは、不完全で受け入れが進んでいない標準を業界に採用させるために、強行手段に出ようとしていると思う」と、セキュリティソフトウェアメーカー、Trend MicroのDave Rand(インターネットコンテンツセキュリティ担当チーフ技術者)は述べている。
Microsoftの動きによって、電子メール利用者には、Sender ID採用への圧力が増すことになる。同技術を機能させるには、ISPや各企業、その他のインターネットドメイン所有者側で、「Sender Policy Framework(SPF)」レコードを公開し、利用するメールサーバの身元を証明する必要がある。
Microsoftによると、現在約100万件のドメインでSPFレコードが公開されているという。昨年末の時点で、全世界の登録済みドメインの数は7140万件といわれており、これに比べればSPF公開ドメインの数はほんのわずかな数に過ぎない。それでも、電子メールフィルタリング企業のMessageLabsによると、AOLなどの大手ISPがSender IDをサポートしていることから、現在やりとりされる電子メールのうち約30%にSender IDが付加されているという。
SenderIDはこれまで成功を収めていないが、これは同技術に高い評価が与えられていないからだと、CAUCE(Coalition Against Unsolicited Commercial E-mail)の共同設立者であるRay Everett-Churchは指摘する。Everett-Churchには『Fighting Spam for Dummies』という共著もある。
「Microsoftはここ数年、インターネットコミュニティにSender IDを押し付けようとしてきたが、ほとんど奏功していない」(Everett-Church)