デンセイ・ラムダの場合、フロントエンドのHyperionとBaanの間はAPIが用意されているため、経営コクピットを実現する上でボトルネックとなりがちなインテグレーションが、ほとんど発生していないのだ。もちろん、それだけでは不充分なので、EAIを導入して、インタフェースを作りこんでいる部分はある。
経営コックピット構築プロジェクトもシンプルだった。BPR(Business Prosess Re-engineering)推進室のメンバー3人が、わずか半年で構築してしまった。熊澤執行役員は「OracleDBとHyperion Enterpriseに精通しているメンバーが1人いたのが、勝因です。ERPが同一パッケージだから単純だとはいえ、システム構築の難易度は高かったのです」と振り返る。
プロセスマネジメントに即したSFAが
経営コクピットを支える
経営コクピットを実現するもう1つのカギがSFAだ。これは、単なるSFAではない。営業マンのプロセスマネジメントに基づくSFAが整備されているからこそ、リアルタオイムな経営状態の観測が可能となったと言う。
デンセイ・ラムダのSFAには歴史がある。熊澤執行役員は10年以上も前に、従前の営業プロセスに疑問を持ち、Lotas Notesを改良してSFAを構築した。
SFAを構築したのは、営業マンが抱える情報を社内で共有し、経営層にタイムリーな情報を提供するためだ。このSFAを支えているのが、プロセスマネジメントだ。これは、結果重視の営業管理から脱却し、プロセス重視の営業を目指し、素早いPDCAサイクルを回すことを目的としている(図1参照)。
たとえば、デンセイ・ラムダの営業マンのプロセスはこうだ(図2参照)。マーケットを調査して顧客を訪問し、サンプルを持参したりデモを実施したりする。その後見積、納品、検収、集金と続き、ようやく現金化されるわけだ。ここで、マーケット調査から見積まで60〜365日かかり、注文書から納品までさらに30〜60日かかる。経営層が売上速報を見る頃には、すでに半年から1年以上経過しており、すでに業務改善のタイミングを逸しているのだ。
また熊澤氏は、売上実績の動向から営業活動の実態を把握できないと断言する。図3は、同社の売上実績と営業活動レベルを表わしている。営業活動レベルとは、訪問と商談件数などを数値化したものだ。これを見ると、売上が上がっている時には営業活動レベルが下がり、下がってくるとレベルが上がるの分かる。「つまり、売上が上がると営業マンは怠けがちになってしまうわけです」(熊澤氏)。