NTTは9月21日、産業技術総合研究所(産総研)、情報通信研究機構(NICT)、KDDI研究所と共同でグリッドコンピューティングを動的に構築する実験に成功したことを発表した。
グリッドは、地理的に分散したコンピュータや外部記憶装置(ストレージ)といった資源をネットワーク上で結びつけるが、資源間を結ぶ安定した広帯域ネットワークが不可欠だ。だが従来は、コンピュータなどの資源とネットワークは別々に管理されているために、資源を自由に組み合わせて動的にグリッドを構成できなかった。
今回の実験では、「グリッド資源スケジューラ」というプログラムと「ネットワーク資源管理システム」を連携させることで、グリッド構築で必要になるネットワークの確保を自動化させることができた。これにより、広域に分散した資源を必要に応じて動的にグリッドを構築することができるようになる。グリッド資源スケジューラは、資源の利用時間、順序といったスケジュールを自動的に決定し、ネットワーク資源管理システムは、グリッド構築で要求される帯域幅をネットワーク上に予約・確保するシステム。
実験では、産総研がグリッド資源スケジューラを開発し、KDDI研がネットワーク資源管理システムを開発した。NICTとKDDI研、NTTの3団体が研究開発用ネットワーク「JGN2」上でグリッドを構築した。実験のグリッドは、福岡市、金沢市、埼玉県上福岡市、大阪市、つくば市、東京・秋葉原の6拠点から構築された。
産総研、KDDI研、NTTの3団体は、グリッド資源スケジューラとネットワーク資源管理システム間の連携インターフェースの詳細仕様の策定を進め、国際的な標準技術となることを目指す。なお、今回の実験の内容は、9月26日から米サンディエゴで開催されるグリッドの国際会議「iGrid2005」で発表される。