同氏は先ごろ当地で開催されたLinuxWorld Conference and Expoでインタビューに答え、「この技術を進化の一歩として目にすることになる」と語った。ただし同氏はこの技術がいつごろ製品化されるかについては明らかにしなかった。
Microsoftは、SWsoftと同じアプローチを採っている。SWsoftはMicrosoftよりはるかに規模が小さいが、同社のVirtuozzo製品はWindowsとLinuxに対応している。また、Beloussov氏によると、プログラマーがLinuxにコンテナ技術を搭載するべく、Virtuozzoの基盤である「OpenVZ」と呼ばれるプロジェクトで速やかに開発を進めているという。
Beloussov氏は、Linuxの心臓部にあるカーネルには、もうすぐ--おそらく今年中に--コンテナ技術の重要な部分が組み込まれるだろうと考えている。これは、「何らかの形で使えるもの」になると同氏は語り、さらにSWsoftがRed HatとNovellの両社から支援を受けているとを付け加えた。
Gabriel Consulting GroupアナリストのDan Olds氏によると、コンピュータの利用効率を高められることが仮想化技術の最大のメリットだという。同氏は、「負荷の少ないユーザーのワークスペースなら、数十あるいは数百でも、数台のシステムでまかなえる」と言う。だが、重要なタスクをコンテナに移動させるにあたっては大きな懸念もある。「OSのカーネルが1つだけという部分に潜在的な脆弱性がある。もしこれがダウンすれば全員がダウンしてしまう。今のところ、x86システムのソリューションとしてはVMwareのアプローチの方が優れていると思う」(Olds氏)
しかし、SWsoftも進化しつつある。OpenVZのプロジェクトマネジャーKirill Korotaev氏は、カーネルへの複数のコンテナ基盤追加を3月下旬に提案し、OpenVZと競合するVServerの主任プログラマーを務めるHerbert Poetzl氏などから良い回答を得た。Korotaev氏はこれを受け、複数のパッチを提出した。
しかし、Andrew Morton氏など、Linuxカーネルの開発責任者を説得する作業はまだ済んでいない。Morton氏は、Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏の片腕といわれる人物だ。
Morton氏はOpenVZの開発について、「将来的な機能拡張を可能にするインフラを実現しようとしている。このような機能の追加は、支持を表明する前にその方向性を明確に知る必要がある」とあるインタビューのなかで述べていた。
価格設定の難しさが問題に
しかし、ほかの仮想化技術同様、コンテナは従来のソフトウェアの価格設定をより複雑なものにしてしまう。標準的な価格モデルは、決まった数のプロセッサを搭載した1台のコンピュータで1つのOSが動作する状態を仮定している。