ソニックソフトウェアは4月20日、エンタープライズ・サービス・バス(ESB)を実装したSOA(サービス指向アーキテクチャ)構築プラットフォーム製品の最新バージョン「Sonic ESB 7.0」の出荷を、2006年5月10日より開始することを発表した。
Sonic ESB 7.0は、JavaやXML、Webサービスなどの標準技術を採用したESBベースのSOA構築プラットフォーム。ハブと呼ばれるインフラ上で、レゴブロックのようにビジネスプロセスを自由に組み合わせることが可能。ビジネス環境の変化に、迅速かつ柔軟にIT環境を変更することが可能になる。
2002年に最初のESB製品「Sonic XQ」としてリリースされ、2005年に可用性を向上、製品名も「Sonic ESB 6.0」に変更された。さらに今回発表された最新バージョン7.0では、「開発生産性の向上」「より高度なWebサービスの実現」「高可用性機能の強化」の大きく3つの機能が拡張されている。
開発生産性の向上では、Eclipseベースの統合開発環境(IDE)である「Sonic Workbench 7.0」を提供する。Sonic Workbench 7.0は、SOAを実現するための包括的な機能を提供するIDE。モデリング、コンフィギュレーション、テスト、デプロイという開発ライフサイクルを完全にサポートすることで、SOA構築を簡便化することができる。
最大の特長は、旧バージョンがC++で開発されたWindowsベースのIDEとして提供されていたことに対し、最新バージョンではEclipseベースのIDEへと生まれ変わっていることだ。これにより、広く提供されているEclipse用のプラグインをSOA構築においても効果的に活用することも可能になる。
また、より高度なWebサービスの実現では、SOAP/HTTPとメッセージ配信の重複防止や到達順序の保証を実現する「WS-ReliableMessaging」や非同期通信の応答性/障害処理を行う「WS-Addressing」、認証/署名/暗号化を実現する「WS-Security」、通信規約を定義する「WS-Policy」を組み合わせることで、これまでは両立が難しかった、信頼性、セキュリティ、同期、非同期におけるエンタープライズクラスのQoSと相互運用性を両立することが可能になる。
さらに、高可用性機能の強化では、「Continuous Availability Architecture-Fast Forward(CAA-FF)」を新たに搭載している。CAAは、いわゆるシェアドナッシング方式のクラスタ環境を実現するための仕組み。シェアドディスクが必要ないことからプライマリサーバが停止しても高速に(数秒単位で)セカンダリサーバに切り替えることが可能。高価なサードパーティー製品を購入することなく、高い可用性を実現できる。
さらにバージョン7.0で搭載されたCAA-FFは、プライマリサーバ、セカンダリサーバ、それぞれに接続されたディスク間で行っていたリアルタイムレプリケーションを、ディスクを使わず、メモリ上でおこなうための仕組み。これにより、CAAよりも高速に高い可用性を実現することが可能になる。
そのほか、ESBデプロイを可視化し、SOA環境のガバナンスを実現するSOA管理プラットフォームである「Actional」やリアルタイムにイベントを検出し、応答するイベントストリーム処理製品の「Apama」などのSOA製品ファミリーを日本市場でも展開していく計画だ。
Sonic Softwareの製品マーケティング担当シニアマネージャであるKen Schwarz氏は、「従来のポイント・ツー・ポイントのシステム連携では変化に容易に対応できない。変化による影響を最小限にする柔軟性や堅牢なエンタープライズレベルの運用、可視化と生業製の向上を実現できるのがSonic ESBだ」と話している。