シアトル発--Microsoftは、ハードウェアメーカーが安定性および安全性がより高いWindows向けドライバを開発し、マシンがクラッシュする可能性を減らしていく2種類のツールを提供しようと準備している。
「PREfast for Drivers」および「Static Driver Verifier」と呼ばれるこれらのツールは、ドライバのソースコードに存在する一般的なエラーを検索し、修復を施せるようにするためのソースコード分析ツールだ。現地で先週開催されていた「Windows Hardware Engineering Conference(WinHEC)」で、「Windows Vista」および次期Windows Server(Longhorn)の新たなトライアル版とともに、第2ベータ版がリリースされた。
Microsoftで「Static Driver Verifier」に取り組む開発者のJon Hagen氏は、WinHECにおけるインタビューで、「ドライバの信頼性と堅牢性が向上することを期待している。カーネルドライバを記述するのは複雑であるため、こうしたツールが求められていた。これでマシンがクラッシュする回数も減ると考えている」と語った。
Windowsのドライバソフトウェアは、PCに内蔵されているか、接続されているハードウェアを動作させるためのものだ。このドライバにバグがあると、多くの問題が発生する。特に、ネットワークインターフェースカード(NIC)やハードディスクドライブなどのハードウェアを動かす、カーネルモードドライバに存在する欠陥は「ブルースクリーン」につながる致命的なクラッシュを引き起こすおそれがある。
カーネルモードドライバは、Windows内の低い階層で稼働している。一方のユーザーモードドライバは、プリンタやグラフィック、USBデバイスといったハードウェアを動作させるものだ。Microsoftによると、こうしたドライバがクラッシュしても、普通はマシンを再起動しなくても復旧できるという。ドライバは、Microsoftだけでなく、WinHECに参加したハードウェアメーカーによっても開発されている。
「ユーザー領域で何かまずいことをすると、その代償は非常に大きくなる。カーネルモードドライバには高い特権が付与されており、(OSの)低層へ任意にアクセスできる。(カーネルモードドライバに実装される)『rootkit』などが危険視されるのは、こうした理由からである」と、MicrosoftでPREfast for Drivers開発を担当しているDonn Terry氏は述べた。
Terry氏はさらに、ドライバのコードを同分析ツールで精査すれば、多様な脆弱性を排除し、ユーザーの悩みの種となり得る問題を解消できると説明している。「たちの悪いバグがなくなるということは、セキュリティホールも攻撃ベクターも、信頼性の欠如も存在しない状態であるということだ。いずれにしろ、ドライバの質はさまざまな角度から見て向上すると思われるが、どのツールも万能であるというわけではない」(Terry氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ