RAIDとは、「Redundant Arrays of Inexpensive/Independent Disks」の略で、「レイド」と読む。複数のハードディスクを組み合わせたディスクシステムのことで、データ転送速度を向上させたり耐障害性を高めたりするための技術だ。
RAIDは、1987年にカリフォルニア大学バークレー校のDavid Patterson氏、Garth Gibson氏、Randy Katz氏の3人によって発表された。その当時、大型コンピュータ用のディスクはとても高価だったにもかかわらず、安価なディスクとの性能差はあまり大きくなかった。そこでこの3人は、安価で低速、小容量なHDDを複数つなぐことで、高価なディスクを越えるような性能を実現しようとしたのだ。発表された当初、RAIDはRedundant Arrays of Inexpensive Disks(安価なディスクによる冗長的な配列)を語源にしていたが、現在では高価なディスクが存在しないため、「Inexpensive(安価な)」を「Independent(独立した)」に変更している。
RAIDを構築する理由とは
近年のディスクの大容量化により、ディスクに保存されるデータは増加の一途をたどっている。その分、ディスクの故障などにより保存したデータを読み出すことが出来なくなったり、データを書き込めなくなったりした場合の損失も大きくなっている。まして企業においては、顧客データや営業実績などの事業継続に直結するようなデータを失くすことは企業の死をも意味する。
データを読み書きするディスクシステムにおいて、「信頼性」、「性能(容量、スピード)」、「効率(コスト、利用率)」のすべてを最上位のレベルで兼ね揃えるのは難しいが、どこに重点を置くかを明確にすることによって信頼性やスピード、利用率に優れたディスクアレイを構築できる。
ハードウェアRAID、ソフトウェアRAIDって?
実際に複数のディスクをRAIDとして構築するために、RAID専用の機器を用いるハードウェアRAIDと、OSなどの機能を利用するソフトウェアRAIDの2種類がある。
ハードウェアRAIDでは、RAID専用機器に搭載されている制御装置がRAIDの管理や処理を行なう。制御部分はPCIバスに接続するカードやディスク装置自体に搭載され、コンピュータ内のプロセッサとは独立して稼働する。
ハードウェアRAIDは、専用機器を購入する点でコストはかかるが、コンピュータ内のプロセッサに余分な負荷をかけることないため、システム全体の処理性能が向上するというメリットがある。そのため、サーバシステム用途などではハードウェアRAIDが一般的に使用されている。
一方のソフトウェアRAIDでは、RAIDの管理や処理をOSなどに搭載された機能が行なう。ソフトウェアで制御が実行されるため、OSが起動していないとディスク装置がRAIDとして機能しないなどといったデメリットがあるが、Windows NT/2000といったサーバOSにはソフトウェアRAIDの機能が既に実装されているため、ディスクさえあれば追加投資がいらないというメリットがある。そのため、個人用途などで使用されることが多い。