--でも、デメリットもあるでしょう?
もちろん。最近あったブレードの市場投入イベントで、IDCのアナリストのJin-Chui Kim氏は、ブレードの主な問題は長期的なシステムの信頼性が実証されていないことだとコメントしている。これまではうまくいっているけど、将来問題が生じる可能性はある。
また、ブレードはベンダーが異なっていれば互換性があるとは限らない。しかし今後数年で標準化が進むと期待されているので、この状況はおそらく改善されるだろう。
大きな課題になっているのはブレードと高機能ストレージシステムを統合することで、これは今も取り組みが続けられている。
--どんな企業が使うことになるの?
すばらしいもののようだけれど、どんな企業にも向いているわけではないんだ。ブレードから最大の恩恵を得られるのは、高い計算能力を必要とするビジネスになる。例えば、毎日取り扱う大量のデータを処理するために膨大な処理能力が必要な、金融トレーダーのような企業が該当する。
他に見込みがありそうなユーザーとしては、映画やアニメーションの製作会社のように大量のデジタルコンテンツを作成するユーザーが考えられる。
これら以外のほとんどのビジネスでは、ブレードの機能が活用されないから、ブレードに投資する価値はないだろうね。
--もう使っているのはどんな企業なの?
さっき触れたように、ブレードは金融サービスで力を発揮する。いくつか例をあげると、Lloyds TSBは2006年の夏から、新しいトレーディングオフィスでHP社のブレードワークステーションを使っている。
Lloyd TSBのトレーダーは、システムを4つ以上使う必要があることが多い。ブレードを採用することで、机の場所ではタワーPCをどけてモニターの場所を確保するだけで済む。これでオフィスはよりすっきりとして、室温が下がったんだ。
ブレードPCを導入する前は30度もの暑さだったので、トレーダーたちは仕事中、半ズボンを履かなければならなかったほどだ。
同じように、イギリスとオランダの多国籍銀行であるInsinger De Beaufortは、セキュリティを強化して、ハードウェアの問題が発生した場合に無駄になる時間を減らすために、早くも2005年6月からブレードPCを使い始めたんだ。
--それでは、ブレードは実際に採用が進むと思う?
そうなりそうだ。多数の大企業がすでに導入していて、ベンダーも売り込みに懸命だ。Dell、Hewlett-Packard、IBM、Sun Microsystemsはみな、明日などないみたいにブレードの販売攻勢を強めているんだ。
--企業はブレードを使用すれば、雑然としたオフィス、安全でないシステム、保守管理の苦労を吹き飛ばせる、くらいは言えそうじゃないか。
ぜんぜんおもしろくない冗談だが、まあそれに近いかも。