MicrosoftとBTが、小規模企業の顧客をターゲットにするホストティングアプリケーションのオンラインマーケットプレイスを共同で立ち上げることを予定している。
新サービス「BT Applications Marketplace」は、Microsoftとの共同で「サービスとしてのソフトウェア」(SaaS)市場へ参入する取り組みの一環となる。この配信メカニズムでは、顧客は、ソフトウェアをあらかじめ購入して社内サーバでホスティングするのではなく、サブスクリプション形式で月額使用料を支払って遠隔地にホスティングされているソフトウェアを利用することができる。
Microsoftのパートナー開発グループに所属するClaire O'Halloran氏によると、同マーケットプレイスでは、人事管理、顧客関係管理(CRM)、給与管理などの業務アプリケーションが提供される見込みだという。しかし、英国の通信大手であるBTとの連合は、不動産業者や歯科医師向けのアプリケーションの提供にもつながる可能性もある。
このマーケットプレイスでは、開始時に約30種類のホスティングアプリケーションが利用可能になる見通し。
SaaSは、リスクを低減し、業務に合わないアプリケーションはすぐに使用を中止して別のものに変更できるため、中小企業にとって最適な仕組みであるという見方もある。また、独立系ソフトウェア企業が大企業に入り込む機会にもつながる。
しかし同時に、小規模企業のIT部門にとってはこれが脅威になるとも考えられている。SaaSの導入判断は、一般にITマネージャーではなく企業幹部にかかっており、ITマネージャーは、この実質的なアウトソーシングサービスに仕事を奪われる懸念を抱くことになる。
Microsoftは米国時間2月21日に、アプリケーション開発者から通信プロバイダーやホスティング企業など多岐に渡る新しいパートナーチャネルの創出を目指した「Partnering for the Future」構想の立ち上げを発表している。
これは、2006年11月に2日間に渡って開催された「SaaS Incubation」プログラムの流れを受けたものだ。同プログラムは、Microsoftの「Live」プラットフォームをベースにアプリケーションを開発するソフトウェアベンダー各社に重点を置き、こうした企業各社のSaaSに対する取り組みを支援する。
MicrosoftとBTの取り組みは、Microsoftのサービス集約プラットフォームである「Connected Services Framework」をベースにしていく予定だ。
O'Halloran氏は21日、自分たちのチームがBTにソフトウェアベンダーを紹介し、これらベンダー各社の製品をマーケットプレイスに登録するか審査にかける計画であることを明らかにした。マーケットプレイスへの正式登録は3月に開始され、サービスはその後まもなく提供開始される。
Microsoftのパートナー開発およびマーケティングディレクターであるKarl Noakes氏は、「BTは幅広い顧客を抱えており、われわれには、これまでの販売主導からマーケティング主導に移行したいと考える多数のISVがいる。適者生存の要素が出てきて顧客の要求が生き残る」と説明する。
統合電子商取引アプリケーションを提供するNitrosellは、BT Applications Marketplaceへの参加の可能性が高いと思われるベンダーの一例だ。
O'Halloran氏によると、自分たちの製品が特に人気が高いことを証明できるソフトウェアメーカーは、自社製品がBTブランドで同社のポートフォリオに組み込まれる可能性があるという。
BTは21日、BT Applications Marketplaceが「Microsoftと共同で取り組んでいるプロジェクトであり、2007年中の立ち上げを目指している」ことを認めたものの、詳細についてはコメントを控えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ