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2007年は「サービス」時代の幕開け

徳田浩司(Fusion Reactor)

2007-01-01 08:00

 昨年、米国のエンタープライズ系ソリューションをいろいろと見ているうちに強く感じることがあった。2006年は大きな転換時期だったのではないかということである。ソフトウェア、ハードウェア等を単一の「プロダクト」として提供し、その品質で勝負する時代が終焉し、それを包含する上位概念であるソリューションという「サービス」の質で勝負する時代が、まさに到来したのではないかということである。この傾向は近年高まってはいたのだが、自分自身、本格的に米国ソリューションを投資の対象としてみるようになって、明確にそれを感じた1年であった。そして、今年2007年は更にこの傾向に拍車がかかるものと思われる。

1990年代のシリコンバレーの成功パターン

 翻って、1990年代のシリコンバレーでの成功パターンを見てみると、1つのモジュールとしての「プロダクト」の短期開発と、海外展開によるマーケットの水平展開、そして多額の資金を投下して大量生産する短期回収であったと思う。通信・ネットワーク・業務系ソリューションなどの分野における、PCやネットワーク機器などの箱物のハードウェアや、それらに搭載する半導体やソフトウェア、エンタープライズ向けのミドルウェア、セキュリティ関連ツール、業務系パッケージソフトウエアなどがまさにそうであった。ベンチャーキャピタル(VC)から10億円単位で投資をしてもらい、巨額の先行投資を行う。一旦プロトタイプが完成すると、米国のみならず、欧州や日本を含むアジアなど全世界に対し営業をかけ、一気に売上の拡大を図って行く。収益性はともかく、成長性をアピールしてNASDAQに上場し、期待値により株価はうなぎのぼりで、VCは大きなリターンを得る。これを4〜5年で、早ければ2〜3年で実現するというのが常套手段であった。

新しい競争ルールは「サービス力」

 今これをそのまま信じる人は少ないだろう。回収が簡単ではないからだ。2004年のSOX法の施行により、コンプライアンス対策コストが跳ね上がり、新規公開しづらくなっていることが主要な原因として上げられる。IT分野の新規公開数は、四半期ベースでわずか10件にも満たない。これでは確かに回収できない。しかし、それ以上に大きな問題が生じているのだ。国際間の競争、プロダクト間の競争は先鋭化し、シリコンバレーのものでなくても安く優れたプロダクトが手に入ることである。そのため、プロダクトの開発による価値創造に固執する企業は、世界的な競争に巻き込まれ、なかなかビジネスが立ち上がらないのだ。

 しかし、そういう時代であるにも関わらず、一方で近年大きく成長を果たした企業が多数存在する。それらは、明らかにこれまでVCが投資していた企業とは異なるビジネススタイルを取っている企業だ。

 大きな違いは、コンサルティングを含む、さまざまな優れた「サービス」の存在の有無である。Googleなど純粋なオンラインによるサービス業はもちろんのこと、ソフトウェアベンダー、ハードウェアベンダーという「プロダクト」を製造・販売する企業においても、サービスの有無やその品質が大きく左右していると思われる。もちろん、主たる売上はプロダクトであるため、90年代のベンチャー企業と一見変わらない。しかし、高度成長を果たしている企業、収益を上げている企業の中身をよくよく見ると、クライアントに対する「サービス」を提供することによる差別化・高付加価値化が伴っているのである。

 少し言いすぎだが、それら企業にとって、プロダクトはサービスを構成する一要素にしか過ぎない。実際のビジネスモデルとしては、従来と同じく、プロダクトによる売上と言う形態を踏襲しているのだが、クライアントが価値を認めて支払っているのは、間違いなく、問題点を解決してくれるソリューションであり、「サービス」に対してである。そうなると、極論すれば、プロダクトは全て自前である必要はなく、不足するものはコモディティ化したものを買ってくればよいし、アウトソーシングすればよい。品質が安定し、かつ低価格である。だからこそ、パートナーシップ戦略が重要となっているのである。

 米国で生活してつくづく感じるのは、いろいろな分野で、サービスの品質が悪いということだ。日本はずばぬけた天才は現れなくても、平均点は高い。「サービス」の品質が高いのである。米国が、資金力にものを言わせ、モジュールとしてのプロダクトを大量生産し、派手な宣伝を行い、世界中に売りさばいていた時代は終わった。もちろんそれが今でも通用する分野は存在する。しかし、少なくともITのソリューションではなかろう。それに気がついた経営者が成功をもたらしている。そう考えると、例えば、「プロダクト」のみならず、現地生産という「システム」とクライアントへの「サービス」を輸出することのできた日本の自動車メーカーが勝者となったのは自明である。

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