SAPジャパンは3月7日、GRC(ガバナンス、リスク&コンプライアンス)分野における取り組みを紹介するプレス向けの説明会を開催した。同社は、新たにGRC事業開発部を設立し、同分野における顧客の支援体制を強化している。
SAPジャパンのGRCソリューションは、SAP AGが2006年5月に買収を完了したVirsa Systemsのソリューションを、SAP NetWeaverをベースにSAP製品として統合したもの。2009年3月期より施行される「金融商品取引法」をはじめ、金融庁および経済産業省が発表した各種内部統制ルールに対応したGRC環境を実現できる。
「GRC分野は、戦略的パートナーとのエコシステム活用とVirrsa製品の統合による製品カバー分野の拡張により、SAP全体としても2006年に大きな成長を遂げた分野だ」と話すのは、SAPアジア太平洋地域&日本担当シニアバイスプレジデントCTO、サイモン・デール氏だ。同社はソフトウェアライセンスで対前年比175%増、半年で既存顧客への導入数が100%増、導入企業は2000社を超えたという。
GRC分野におけるグローバル戦略としては、GRC基盤により統合される価値を提供し、GRC市場の拡大とパートナー支援の強化を目指すとともに、リスク管理やガバナンス機能を通じたコンプライアンス基盤の拡張を実現する。業種別では、ライフサイエンスや金融分野を中心としたGRCの課題を解決するソリューションを提供していく。
「統合されたGRC製品を提供できるのはSAPだけ。これは、15年前にERPパッケージを提供できるのがSAPだけだったことと同じこと。GRC統合により、日本版SOX法に対応できるのはもちろん、コスト削減やブランド価値の保護、経営の可視化や柔軟性、迅速性を実現し、企業の信頼性を向上できる」(デール氏)
また、SAPジャパンのパートナー&マーケティング統括本部 GRC事業開発バイスプレジデント、桐井健之氏は、「GRC対策はコストのかかるやっかいなものと言われてきた。しかし、リスクの回避で社会的信用は大きく向上できる。GRC分野は、SAPにとっても新たなビジネスチャンス。BPP(ビジネスプロセスプラットフォーム)と同様に、SAPの重要なビジネスのひとつとなる」と話している。