富士通は5月9日、エントリークラスのディスクアレイ製品「ETERNUS2000」を発表した。同社ではすでに2006年よりエンタープライズクラスの「ETERNUS8000」、ミッドレンジクラスの「ETERNUS4000」を提供していたが、新たにエントリークラスのラインアップを追加し、ローエンドディスクアレイ市場でのシェア拡大を目指す。
富士通 ストレージシステム事業本部 本部長の上田孝一氏は、IDC Japanのデータから、メインフレームとオープン市場全体における同社の外付型RAID国内市場のメーカー別工場出荷時売上高のシェアが、2005年は18.5%、2006年は20%で、両年共に2位だったとしている。それが、オープンのローエンドディスクアレイ市場ではシェアが6.5%で6位にとどまっているのだ。
「ローエンドディスクアレイ市場は、(他のクラスのディスクアレイ市場よりも)伸びが高い。ストレージ容量は増えつづけており、日々のストレージニーズや内部統制をキーワードとしたストレージ提案をすることで、この市場でのビジネスを展開していきたい」と上田氏は話す。
ETERNUS2000は、「エントリーディスクアレイに求められる基本的要件はもちろん、上位クラスの要件にも対応した製品だ」と、富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージシステム事業部長の工藤哲郎氏は説明する。エントリーディスクアレイの基本的要件とは、低価格で低消費電力、コンパクトな筐体、静音性、容易な導入と管理などで、上位クラスの要件とは、データ量の増加に対応できる高い拡張性と、高速コピー機能などによるバックアップの効率性、コンプライアンスにも対応できる信頼性などだ。
具体的には、部品点数および基盤サイズを60%まで削減し、コンパクトな筐体を実現した。また、アクセスしていないディスクは回転を停止させるMAID(Massive Arrays of Inactive Disks)技術を応用し、省電力に対応している。
搭載可能なディスクドライブは、毎分1万5千回転のSASディスクドライブと、バックアップに最適なニアラインSATAディスクドライブ。異なるディスクドライブを同一筐体内に混在させることもでき、筐体内の世代管理バックアップも可能だ。最大構成ではディスクドライブを72台まで搭載可能で、最大54テラバイトまで拡張できる。
また、上位クラスの高信頼性をエントリークラスでも実現するため、コントローラーや電源、ファンなどのコンポーネントを二重化したほか、同一RAIDグループ内のディスクドライブの二重故障時にもデータを保持できるRAID6をサポートしている。さらには、格納する全てのデータにチェックコードを付与してデータの整合性を保証する「ブロックガード」機能も備えている。上位クラスのディスクアレイ同様、富士通製はもちろん他社のUNIXサーバやPCサーバへの接続も可能だ。
ETERNUS2000は、3モデルが用意されている。最大12ドライブ搭載可能で、99万9000円から導入できる価格にこだわったモデル50、最大24ドライブ搭載可能でアドバンスドコピー機能をサポートするモデル100、同じくアドバンスドコピーをサポートし、最大搭載ドライブ数が72と、ミッドレンジクラスにまで対応可能なモデル200だ。
上田氏は、ETERNUS2000の投入で、現在のローエンドディスクアレイ市場でのシェアを「15%から20%にまで拡大したい」としている。海外での販売も視野に入れており、今後2年間で国内にて5000システム、海外にて7000システムの販売を目指している。