「日本のシステム開発現場で最も使われている開発支援ツールは何だろうか?」
「多くのエンジニアは、何を重視してツールを選定しているのだろうか?」
「ツールは本当に役に立っているのだろうか?」
こうした疑問に答えるために、ITエンジニア向けの月刊誌「日経SYSTEMS」(日経BP社発行)は、開発支援ツールの利用実態調査をインターネット上で実施した。調査期間は2007年3月9日から4月16日まで。日経BP社のIT関連サイト「ITpro」や、シーネットネットワークスジャパンの「ZDNet Japan」などを通じて回答を集めた。全回答者数は2824人。
調査にご協力いただいたZDNet Japanの読者の皆様、この場をお借りして厚く御礼いたします。
調査対象にしたツールの分野は、要求/要件定義、分析/設計、プログラミング、単体テスト、機能テスト、負荷テスト、計測テスト(パフォーマンス測定やプロファイリングなどを実施するテスト)、Webシステムの脆弱性テスト、変更/構成管理、プロジェクト管理---の10分野である。
この記事では特に、オープンソース(または無償)の開発支援ツールに関する調査結果を中心にご紹介したい。
40.4%のプロジェクトで使われている
調査では、なるべく最新の開発支援ツールの利用実態を調査したかったため、「過去1年くらいの間にシステム開発プロジェクトに携わったことがある」「現在進行中のプロジェクトに携わっている」と答えた1731人に対して、ツールの利用実態を尋ねた。
まず、携わったシステム開発プロジェクトで、オープンソース(もしくは無償)の開発支援ツールを利用したかどうかを尋ねたところ、40.4%が利用したと答えた(図1)。
さらに、オープンソース(または無償)の開発支援ツールを利用していると答えた回答者が携わるプロジェクトの規模ごとに、分布を調べてみた。すると、中規模や大規模での利用比率が高いことが分かった。
具体的には、小規模といえる1000万円未満のプロジェクトでは21.9%、中規模といえる1000万円以上〜1億円未満で、34.9%、大規模といえる1億円以上では、32.0%となった。小規模の割合は、中規模、大規模よりも10ポイント低くなることが明らかになった(図2)。
大規模プロジェクトほどオープンソース(または無償)ツールを採用する傾向が高い理由は、まずコストである。開発支援ツールといえども、開発要員の人数分、市販製品を購入すれば、そのコスト負担は重い。そのコスト負担を下げるために、オープンソースツールを導入していると考えられる。
もうひとつの理由は「Eclipse」の存在だ。大規模アプリケーションの開発言語として「Java」の存在感は強く、Javaのプログラミング・ツールとしてはオープンソースの「Eclipse」が広く使われている。このことは、今回の調査結果からも明らかである。