Oracle CRM On Demand担当バイスプレジデントのAnthony Lye氏によれば、顧客が求めるCRMとして、戦略的なCRMと事務的なCRMの2つがあるという。前者はトップダウンでプロセス重視の企業、後者はボトムアップで人材重視の企業がユーザとなる。また、企業規模などから従来型とOn Demandという2つの利用方式がある。29日、Anthony Lye氏はOracleのCRMビジネスについて説明し、Oracleだけがこの組み合わせを全てサポートできるベンダである、と同社の優位性を強調した。
CRMに限らず、エンタープライズアプリケーションは当初より効率化による収益向上、極論すれば人を機械で置き換え、余裕のできた人材をほかに投資することを目的としてきた。しかし、現在ではこれに加えて人と人との強調を促進するという役割も求められている。Anthony Lye氏は前者を変革可能なビジネス、後者は適合可能なビジネスと分類する。変革可能なビジネスの代表例としてはコールセンター、適合可能なビジネスの代表例としては複雑な製品を扱うエッジ営業となる。
変革可能なビジネスで求められるのは長期的な市場の支配であり競争上の優位性。結果として中央集中型でエンド・ツー・エンドのビジネスプロセス管理が行われる。適合可能なビジネスで求められるのは短期的な成功でありベストプラクティスの共有。ここでは職責を積極的に委譲する分散型の管理が行われ、個人やチームといった小さな単位での生産性向上が求められる。
例えば、同社が柱のひとつとして推進するWeb 2.0の活用方法についても、この2つで異なってくる。変革可能なビジネスにおいては散在する情報のマッシュアップ、適合可能なビジネスではブログなどを活用した情報共有といった具合だ。
Oracleではこれら双方に応える製品をラインナップしている。変革可能なビジネスに対する戦略的CRMとしてSiebel 8、適合可能なビジネスに対する事務的CRMとしてSiebel CRM On Demand Release 14だ。これら2つを従来型もしくはOn Demand型で提供、場合によっては組み合わせて提供する。
Anthony Lye氏は顧客ごとに戦略的CRMと事務的CRMのどちらを必要とするかが異なり、提供方法についても従来型の顧客が全てOn Demandに移行すべきとは言えないとする。こうした状況から、Oracleはこれらの組み合わせをサポートする。
ここで重要なのが組み合わせて使用する際にいかにアプリケーション間を連携させるかという点だ。同社ではOracle Application Integration Architectureを提供、標準ベースの共通データモデルで全てのOracle Applicationを連携させる。もちろん、企業内にある従来型アプリケーションとOn Demandのアプリケーションの連携もサポートする。さらに、ERPであるOracle E-Business Suiteとの連携も可能になる。さらにはSalesforce.comとのプロセスおよびUIの統合もサポート、企業をとりまく資産から人材、顧客全ての情報を見渡せる情報センターを構築可能となる。
これがFusion Application世代になるとさらに進化する。「Fusionアーキテクチャは最初からSaaSレディ」(Anthony Lye氏)だからだ。
同氏はこうした連携がFusion Middlewareと業界標準という2つの要素によって成立するとし、この2つに投資するOracleの優位性を強調する。Fusion Middleware上に構築されることでアプリケーション間連携やWeb 2.0の取り込みを実現、業界標準によってサードパーティとの連携も可能となるというわけだ。