GoogleはなぜSaaSやGearsを手がけるのか - (page 2)

大川淳 2007年06月15日 22時50分

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「GoogleはGoogle Appsのような、SaaSの特徴だけでなく、さまざまな形態のサービスに技術を提供していきたいと考えている」。サービスや技術の供給の仕方を限定しないことがGoogleの基本姿勢のようだ。「Googleの技術は、どこにでも供給できる。PC、Mac、スマートフォン、PDA、携帯電話など、選択肢が多い。オープンソース、API、XMLなどを用いて、ユーザーからみて、他のインターフェースの方がよければ、その選択は自由であり、決してロックインしない。Googleのサービスは、最も先端的な層のために開発してきたものではない。先進国であれ、途上国であれ、世界中どこでも、古い形式のパソコンでも使うことができる。これは、いわばガスや電気と同じだ」。

企業向けの事業で、Googleが目指すところは何か。「Googleの企業向け事業の規模は、この数年、対前年比100%増の勢いで成長しており、非常に強力だ。Google Appsは10万以上のユーザーがすでにいる。我々は売上を伸ばすというよりは、むしろ、ユーザーの数を増やすことを重視している。ライセンスが多く売れるのは良いことだが、使ってもらえなければあまり意味がない。本来の目的を達成することはできないからだ。というのも、多くのエンドユーザーに実際に使ってもらえれば、それだけ多くのフィードバックが得られることになり、イノベーションが循環する。これが重要だ。Googleは、世界中で使ってもらえるよう、製品の技術を公開している。Googleだけがイノベーションできるわけではない。(公開により、世界の多くの人々の意見、英知を集めることができる)ここがまたきわめて重要な点だ。たとえば、マップはユーザーに洗練され、ガジェットはユーザーにつくられているわけだ」。

「これまでの企業向けソフトを振り返ってみると、ソフトを供給するベンダーは、業界内のメーカーなどの要望を聞き、フィーチャーがつくられており、直接、エンドユーザーと対話することはできなかったのではないか。Googleは、コンシューマ領域でユーザーと直に話ができる。エンドユーザーがどのようにアプリケーションを使っているかがわかる。どのあたりをクリックしているのか、新たに盛り込んだ機能は使われているかなど、もちろん、エンドユーザーの匿名性は守られるので、プライバシーは保護される」。

米マイクロソフトや米ヤフーは、Googleに大きな脅威を感じている。対Googleのために両者が連携するのでは、とさえ囁かれている。Googleとっての競合相手とはどこなのか。「本当の意味での競合は、エンドユーザーに非常に強くフォーカスするような企業ということになるだろう。一般消費者向けの事業を行い、従来型の企業とは一線を画すようなところだ。真に、全世界の情報を集め、人々があまねくアクセスでき、利用することができるようにするようなかたちでのサービスをしていくにあたり、競争は必要だと考えている。競争は企業にとってモチベーションになるし、良いことだ。企業同士の競い合いは究極的にはエンドユーザーの利益につながる。ヤフーやマイクロソフトは間違いなく、Googleと競争している。ただ、検索や広告事業では、我々と彼らでは、目指すところも強みも異なる部分はある。また、企業としての開発の場もちがう。Googleは急成長しているが、まだ若い企業であって、より多くリスクをとって、ビジネスモデルを変えることができる。その点、他の企業の場合は、金の卵をだめにしてしまうようなことがあるかもしれない」。

今後、Googleが新たに手を広げていく可能性があるのはどのような領域なのか。「マイスペースのようなSNSは非常に成功を収めている。SNSのようなアプリケーションはおもしろいと考えている」。同氏はまた、Social Bookmark Serviceを企業向けのサービスとして活用することの有効性も指摘している。さらに企業向けサービスを強化する施策の一つとして、iGoogle(Google Personalized Homepage)で、CRMやERPをも表示することなどが考えられるが、これについては「大きなチャンスがあると思っている」という。

企業を対象にした事業展開、SaaS型の活用でも、まだまだ、数多くの「隠し球」をGoogleはもっているように感じられる。それは明らかにはならなかったが、ユーザー側の技術を重視、機軸とする基本姿勢だけは、どのような展開においてもまったく揺るがないことだけはたしかだ。

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