Contents Delivery Network(CDN)のアカマイは7月20日、コンテンツを管理するツール「Stream OS」とコンテンツの配信結果を分析するツール「Download Manager」を組み合わせて、コンテンツの配信・管理・配信結果分析を統合したCDNサービスを提供することを発表した。これらのCDNサービスは、世界で日本が初めてのものであり、全世界に先駆けての提供となる。
Stream OSは、アカマイのネットワーク上でストリーミングメディアの作成・発行・配信をウェブベースで管理するツールだ。現在さまざまな企業が動画や音楽などのリッチメディアを配信しているが、その配信先はPCに加えて、携帯電話やスマートフォンWiiやPLAYSTATION 3といったゲーム機、デジタル音楽プレーヤーなど、端末もさまざまだ。また、配信する経路も多様化している。
そうした状況で、多くの種類のリッチメディアをさまざまな端末に効率よく配信するという作業は、配信する企業にとって、業務を複雑化させることになっている。Stream OSは、そうしたリッチメディアを効率よく管理することで、複雑な業務を減らそうという目的で使用されることになる。
もう一つのDownload Managerは、ソフトウェアや映像、あるいは容量の大きなオブジェクトをエンドユーザーに効率的にダウンロードし、その結果を分析するコンポーネントだ。このツールは、Adobeのソフトダウンロードや、マイクロソフトの「Windows Vista」のベータ版のダウンロードですでに利用されている。
Download Managerは、計測対象となるソフトや動画、オブジェクトがどれくらいダウンロードされたのか、いつダウンロードされたのか、ダウンロードにどれくらいのエンドユーザーが失敗したのかなどを分析することができる。
たとえばソフトウェア企業が100ドルのパッケージソフトをトライアル版を無料で公開したとしよう。エンドユーザーは、トライアル版を使ってみてからパッケージ版を購入することになる。この時に、トライアル版のユーザーが5%がパッケージ版を購入するとしたとき、企業にもたらされる利益は、ダウンロードの成功率にかかってくる。
ダウンロードを試みる全体が10万人として、成功率が50%なら5万人が、成功率75%なら7万人がダウンロードできることになる。それぞれ、その5%がパッケージ版を買うとすると、成功率50%では2500人が、成功率75%ならば3750人が、買うことになる。もたらされる売上高は、成功率50%では25万ドル、成功率75%だと37万5000ドルになる。
こうした事態を考えると、コンテンツの配信結果を分析することには大きな意味が存在してくることになる。
今回の2つのツール提供で、アカマイのネットワークは、従来のコンテンツ配信に加えて、コンテンツ管理、コンテンツ配信結果分析という機能を一元的に提供することになる。同社社長の小俣修一氏は、「これら3つの機能を一元的に提供することで、デジタル資産の運用を通じて企業は新しい事業展開ができる」とそのメリットを強調している。