本連載では、これからデータベースを使おうとしている方や、触ってみたいと思っている方、興味はあるけど難しそうだなという方を対象に、データベースとはどういうものかを理解して頂くことを目標とし、データベースの基本となる考え方や用語、仕組みについてお話していきたいと思います。
では、早速始めましょう。
データベースとは?
「データベース」という言葉を聞いてみなさんは何を想像しますか?データベースという言葉は最近ではよく頻繁に耳にする言葉です。そして、みなさんも意識しないところで様々なデータベースを利用しています。広義の意味では図書館もデータベースということもできます。また、銀行のATM、普段利用している携帯電話の電話帳もデータベースと言えます。
では、一体どういうモノを「データベース」と定義しているのでしょうか?手っ取り早く辞書で調べてみましょう。今では便利なことに、インターネットで辞書検索できてしまうわけですが、こうしたインターネット上の情報も巨大なデータベースと言われますね。さて、「大辞林 第二版」では以下のように書いてあるようです。
「コンピュータで、相互に関連するデータを整理・統合し、検索しやすくしたファイル。また、このようなファイルの共用を可能にするシステム。」
「データベース」とひとくくりで言ってしまうと、紙や電子ファイルなど他の媒体を介しているものも、広義に解釈すると含まれてしまいますので、本連載では、辞書に書いてあるように「コンピュータ」上のデータベースを前提として話を進めていきます。ここでデータベースについて整理したいと思います。
イメージしやすいよう、図1にチャートにしてみました。絵の右側が、コンピュータ上に存在する様々なデータ1個1個のファイルです。それを、中央にあるデータベースという仕組みにデータとして格納します。そのデータを、左側にあるコンピュータなどの端末からデータベースにアクセスし、必要なデータを取り出します。この流れの中で、データベースは、データを整理して貯め、そのデータを情報として活用するために取り出しやすくする役割を負っています。―これがデータベースです。
データベースの語源
ちなみに、この「データベース(Database)」という言葉は、いつからどのように使われるようになったのかご存知でしょうか?この「データベース」という言葉は、1950年頃アメリカ国防省において、複数に点在する資料保管場所を一箇所に集約し、そこに行けば全てのデータを得ることが出来るように効率化を図る目的で誕生したと言われています。つまり、一箇所に集約された場所を、情報(Data)の基地(Base)と呼び、これが今日のデータベースの語源とされています。
ここで「へぇー」で終わってはいけません。注目したいのはデータベース=情報の基地という部分ではなく、「情報を集約して効率化を図った」というところです。これこそが、現在の企業の多くがデータベースを利用している大きな理由ではないでしょうか。
データベースとファイルとの違い
データの管理方法の変化
コンピュータ上でのデータベースについて話を進めていますが、コンピュータが無かった時代は、データ管理はすべて紙を利用していました。伝票など、紙を使って人の手で処理していたのですが、コンピュータの登場により一部の作業(計算、集計)を人の手に替わってコンピュータが処理するようになりました。これが、コンピュータ利用の始まりでした。
やがて、安価で高性能な良いコンピュータの普及により、コンピュータを利用する機会も多くなりました。コンピュータを使用すると、データの検索や蓄積が手作業に比べてはるかに容易になります。また、システムに必要とされる業務要件が変化し高度になっていくにつれ、「コンピュータを利用してデータを紙に蓄積し、活用する」というモデルから「コンピュータそのものにデータを蓄積し、活用する」というモデルに移行しました。さらにその後、コンピュータ上で動くデータベースが登場したことにより、「ファイルシステム」ではなく「データベース」にデータを格納するようになったのです。
ではなぜ、ファイルではなくデータベースに格納するようになったのでしょうか?先ほど、データベースは「データを整理・統合し、検索しやすい仕組み」と言ったことを思い出して下さい。単に「データを格納する」だけでは、データベースとは言いません。この「データを整理・統合し、検索しやすい仕組み」を提供するものこそ、データベース管理システム(DBMS)と言います。DBMSの詳細については次回以降にお話したいと思いますが、ここでは一先ず、格納されたデータに対して、データを管理し、検索(活用)しやすい仕組みを提供するものと理解しておいてください。