異常な暑さの夏日が続いた8月も終わり、いよいよ9月へ突入した。著者の夏休みはとっくに終わっているが(涙)、夏が終わると一抹の寂しさがある。またそれと同時に後半戦だという意識(焦り?)も高まり、身が引き締まってくる。
さて、ゴールデンウィーク明けから始まったこの連載も7回目を迎え、いよいよ今回が本当の最終回だ。「プロトコルとは?」から始まり、レイヤの話、IPアドレスの読み方と続き、前回の「ネットワーク業界の注目されるキーワード」まで多岐にわたってお話しした。最終回となる今回は、前回に引き続きキーワードを2つほど紹介したいと思う。今回もお付き合いの程、お願いしたい。
データと音声を融合するユニファイドコミュニケーション
前回予告したとおり、最初のキーワードは「ユニファイドコミュニケーション」だ。
これは、そのまま直訳すると「統合(融合)通信」で、主にデータと音声(ボイス)パケットを融合したコミュニケーションツールを指すことが多い。この概念は最近に始まったことではなく、数年以上前から存在するが、最近になって現実味が高まってきたと言っていい。それは、パケット毎に帯域の制御を可能にするQoS(Quality of Service)技術の高度化や、SIP(Session Initiation Protocol)やH323などの通話制御プロトコルの多様化、また回線のブロードバンド化などでネットワークの性能が飛躍的に向上し、コミュニケーションツールが抵抗なく使えるレベルに上がってきたことにある。
では、ユーザー側からみたユニファイドコミュニケーションのメリットは何だろうか。
まず最初に、「業務効率の向上」が挙げられる。一般的に、ユニファイドコミュニケーションツールの中には「プレゼンス」という機能がある。これは、通信しようとする相手が現在どのような状態になっているかを示したもので、例えば「現在会議中」、「外出中」、「オフィスに在席中」といったように、ステータスを表すものだ。ステータスをひと目で見ただけで相手の状態が分かるため、在席中であれば直接電話(テレビ電話)をかけ、会議中であればインスタントメッセージを送り、外出中であれば相手先の携帯電話に電話すればよい。このように、相手の状態を電話やメールなどで探らなくてもすぐに分かるので、業務効率が上がるのだ。プレゼンス機能はユニファイドコミュニケーションツールの中核的な役割を担う非常に便利なものである。