情報セキュリティをテーマとした国際会議「Black Hat Japan 2007 Briefings」が、10月25〜26日の2日間、東京・京王プラザホテルで開催されている。日本での開催は今回で4回目。大規模化した展示会とは異なり、講演主体の構成で、かつ大半は英語での講演。運営も手作り感を感じさせる小規模なもので、米国でよく見かける「専門家の集まり」というカンファレンスのスタイルをそのまま日本に持ち込んだようなイベントだ。
本稿ではまず、初日の25日午前に行なわれた、Kenneth Geers氏による「101号室からの手紙(“Greetz from Room 101”)」という講演の様子を紹介する。
Geers氏はまず講演タイトルである“Greetz from Room 101”の意味について説明し、英語のネイティブ・スピーカーであれば、101号室からの手紙、と聞けば、できれば受け取りたくないような深刻な問題の通知だと理解する、と語った。残念ながら日本人向けにはそのままでは通じないということは理解した上での説明だったようだ。
同氏の講演は、ジョージ・オーウェルの有名な小説『1984』を土台に、そこで描写された高度に抑圧的な管理体制が決して絵空事ではなく、実際にインターネットに対して政治権力が遮断や検閲・監視を強化する動きが存在するという実情を紹介するものだった。
同氏はインターネットの特徴について「個々人による参加型のメディアで、新聞やTVといった従来型のメディアに比べてより管理しにくいもの」とし、そこで流通する情報を選別して不都合な情報を遮断することが困難であることを示した。一方で、オープンソースソフトウェアなどとして開発・公開されるツールは、ユーザー側だけでなく、管理を試みる政治権力側によっても強力なツールとなることを紹介し、実際にさまざまなフィルタリング・ツールを活用してインターネットの情報統制を実行している国の実例を紹介した。
では、次ページで、同氏が格付けしたインターネットに対する統制状況のワースト・ランキングを紹介したい。