OSSでシステム開発の主導権はエンジニアが握る
「新3K」と呼ばれているように、現在のシステムエンジニアのおかれている環境は厳しいものがある。しかし、野村総合研究所(NRI)のオープンソースソリューションセンター長を務める寺田雄一氏は「オープンソースの普及によって、システム開発における現場のエンジニアの役割がより重要になり、スポットライトが当たるようになると考えています」と話す。
従来、OSやミドルウェアなど、システム開発をする上で重要なコンポーネントは、大手のITベンダーや、ソフト会社によって提供されるものであった。このような環境では、現場のエンジニアはそれらを受け入れて、使うしかない。
しかし、現在はオープンソースソフトウェア(OSS)が広く普及し、OSであるLinuxはもちろん、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)やアプリケーションサーバ(APサーバ)などのミドルウェアについても、OSSが使われるようになってきた。また、これらの上で稼動する開発ツールやフレームワークなど、これまで存在しなかったような便利な部品が多く開発されてきている。
このような環境では、どのようなソフトウェアをどう組み合わせて、目的のシステムを構築していくか、エンジニアの選択肢が広がってきたと考えることができる。たとえば、従来であれば独自に開発しなければならなかったような共通部品が、すでにOSSとして公開されていることも多く、それらを利用することができる。さらにエンジニアが自分でそれを修正することも可能だ。
ユーザー企業やSI現場のエンジニアを支援したい
「しかし、まだ課題もあります。企業システムの場合、開発したエンジニアが保守・運用フェーズも引き続き対応してくれるとは限りません。また、エンジニア個人では対応できないような、難しい問題や障害に直面することもあるでしょう」と寺田氏は話す。
このような問題を解決するのが、NRIが提供するOSSサポートサービス「OpenStandia」だ。NRIは2006年にユーザー企業やSIer、パッケージベンダー向けのサポートサービス事業として提供を始めたのである(OSSやOpenStandiaの普及を目的としたQ&Aサイト「OSSユーザコミュニティサイト」も開設している)。
OpenStandiaは現在大きく分けて、(1)単体サポートサービス、(2)OSSのトラブル対応「オープンソース救急センター」――という2つの柱からなっている。