「半年程度」と高橋氏が言うのは、半年休めばある程度の回復は見込めることからだ。休職期間が長引けば、復職の壁が高く感じてしまうこともあり、プレッシャーとなる可能性もある。投薬をやめる必要はなく、治療を続けつつ復職を目指してほしいと高橋氏はアドバイスする。
もちろん、復職後も無理をしてはいけない。復職直後のストレスは非常に大きいためだ。「まず、最初の3カ月程度は、半日もしくは通常勤務の3分の2程度の仕事量に抑え、無理のない復帰を試みるべき」と高橋氏。また、仕事内容も、できれば顧客と直接接する対クライアント案件はプレッシャーが高いため、最初は避けたほうが安全だとしている。
高橋氏が指摘する「プレッシャーの高い対クライアント案件」がIT業界に多いことは事実で、1回目の特集に登場した中井さんも、「SI企業は建設業界的な部分があり、プロジェクトでクライアント先に出ていると、周りの人はどこから派遣されているのかわからないような状況も多かった」と、混とんとした職場環境に不安をかき立てられたことを指摘している。
復帰後すぐに以前と全く同じ状況に戻ることは難しい。高橋氏は、「復帰には時間がかかることを理解し、企業も復帰のための環境を整えるようにしなければ、同じことを繰り返してしまう。復職に失敗すると、患者が自信をなくしてしまうケースもあり、再度復職を望む際、医師としても診断書が書きにくい。復帰に失敗するのはわずかだが、それは企業側に理解のないケースが多い」と指摘する。
アファリスの顧問医師 栗原雅直氏も、「IT業界は外資との競争も激しく、ゆとりのあるポストを設ける余裕はないかもしれないが、病状の回復には環境が大きく影響することを理解してほしい。例えば看護士などでも、心の病から復帰する際にはリネンの洗濯係などから始めることが多い。無理のないポストで復職の環境を提供することは、企業にとって大切な要素だろう」と話す。
技術者に「ゆとりのあるポスト」を期待することは難しいかもしれないが、企業側も、誰が発病してもおかしくない病気だということを理解し、対応を考えていくべきなのかもしれない。