OSSを活用した基幹系システム構築の裏側を探る--第4回:「NECのOSS/Linux検証システム」 - (page 2)

鶴田展之(qnote)

2007-12-03 11:00

「検証センター(社内)」のシステムと検証サイクル

 前ページのように、同社のOSS検証システムにおいて、検証センター(社内)は技術面で特に大きな役割を担っている。同センターでは様々なハードウェア構成、ソフトウェア構成による基本的な動作検証だけでなく、一定期間実際の稼働をシミュレートするようなロングラン検証なども実施されている。また、障害時のフェイルオーバ動作や復旧作業等も、実際のシステム同様に冗長化された通信設備と併せて検証可能な環境が整えられている。通信機器からハード、OS、ミドルウェアに至るまで、実際のシステムとほぼ同等な環境で試験が行われていれば、可用性への懸念から躊躇してきたユーザも、安心してOSSの採用に踏み切れるはずだ。

検証センター(社内)での検証実施例(OSS-DB検証)

検証センター(社内)での検証実施例(OSS-DB検証)

 検証センター(社内)によるLinux/OSS関連の検証は、ひとつの内容につき概ね2ヶ月程度を費やして行われる。本年度に行われたな主な組み合わせ検証としては、SpikeSourceコアスタック(SSCS)+主要商用ミドルをRed Hat Enterprise Linux上で稼働させる「SSCS検証」や、PostgreSQL/MySQLといったOSSのデータベース製品と主要商用ミドルの「OSS-DB検証」などがある。さらに、例えばSSCS検証では、3月からSSCS 2.0の検証、9月からは新バージョンのSSCS 3.2による検証といった具合に、常に最新の組み合わせによる評価が繰り返し行われており、各種成果物がノウハウの集積としてSEや営業担当者に提供されている。

OSSエコシステムとNECの役割

 このように大規模な検証環境を構築し、一般のOSS開発コミュニティだけでは為し得ない高品位なサービスを創出することは、「OSSエコシステム」の中で同社が目指す「仲介者」の、重要な役割のひとつである。OSSが社会的に認知されその適用範囲を拡げていく中で、コミュニティとエンドユーザだけの関係では成り立たない場面は確実に増えていくだろう。OSSの更なる普及に向けて、今後も期待をもって同社のOSSソリューションを注目していきたい。

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