毎秒1000兆回の演算処理を意味する「ペタフロップス」の突破が近づいてきたスーパーコンピューティングの分野。F1カーの開発にまで利用されるようになったこの分野の現状をQ&A形式で紹介する。
--スーパーコンピューティング?マントを付けてタイツをはき、キーボードの上に浮かんでいるパソコンなんてあったっけ?
またご冗談を。スーパーコンピュータっていうのは、処理能力や速さの面で最先端にあると考えられているコンピュータのことだよ。
--どんなコンピュータなら「スーパー」コンピュータになるの?
速さがすべての基準で、最速クラスのコンピュータがスーパーコンピュータと呼ばれるんだ。でも、スーパーコンピューティングという言葉が指すものはかなり流動的で、ある時点のスーパーコンピュータが少ししたらごく普通のコンピュータになっていることも珍しくない。
いつの時点でも、信じられないような速さで動作する有名なスーパーコンピュータがいくつかあるのが普通だね。IBMは半年ごとのスーパーコンピュータのランキングで、また圧倒的な成績を収めたんだけど、その中で同社のBlue Gene/Lというモデルがトップに立った。
Blue Geneについては後でもう少し話すけど、IBMは現在、「Roadrunner」という愛称で呼ばれるコンピュータの開発にも取り組んでいて、これが全面的に稼動すると毎秒1000兆回(「ペタフロップス」)を超える演算を実行できるようになる。
--スーパーコンピュータってどんな形なの?
デザインやレイアウトはスーパーコンピュータごとに違っているけど、ほとんどはコンピュータのクラスタを使って処理能力や速さをアップさせている。
2007年11月時点のスーパーコンピュータトップ500ランキングで最速のマシンはBlue Gene/Lだけど、これは6万5536台のコンピュータから成るクラスタで、各コンピュータには2つのデータストリームを同時に処理できる2基のプロセッサが組み込まれているんだ。
--じゃあ、Blue Gene/Lが世界最強のコンピュータなの?
そうだとも、違うとも言える。Blue Gene/Lは現に存在するものでは最強のスーパーコンピュータなんだけど、「Storm Worm」(マルウェア)を仕掛けた犯罪者たちが作り上げたボットネットには数百万台のコンピュータが含まれていて、全体での計算能力はBlue Gene/Lを凌いでいるんだ。