#6:成功を収めた際には上司に感謝の意を表する
あなたが自らのチームの前で上司から、または上司の上司から表彰を受けるなど、あなたの働きが公に認められる瞬間がやって来たとしよう。この時点でとるべき適切な行動は、それを可能にしてくれた人々、特にあなたの上司について何か述べることである。上司が本当にあなたを支援してくれていたという場合、それは簡単なことだ。しかし、「悪い上司」であった場合にはどうすればよいのだろうか。何か言う必要はあるが、本当のことしか言うべきではないだろう。
悪い上司でも優れた洞察を提供してくれたり良い例になってくれたりするという、1番目の項目で述べたことを思い出してほしい。あなたの上司は、あなたのやる気をそいだり、ものごとを困難にしたりしたことがあっただろうか?そうであれば、その上司は「事実を正しく捉える」助けになってくれたり、「正しいことを行っているかどうかを省みる」きっかけを与えてくれたり、「さまざまな観点から問題を捉える」機会を与えてくれたりしたと考えることができる。無理をしてはいけない。でなければ、わざとらしくて嘘っぽく聞こえてしまうおそれがある。とは言うものの、上司の助力について何か1つぐらいは述べるようにしたい。
#7:批判を個人に対する攻撃と考えない
われわれの大半は自分の仕事に打ち込んでいるので、自身を仕事から切り離すことが難しくなる。そのため、自分の仕事を批判された場合に、その批判を個人に対する攻撃と捉えてしまいやすい。しかし、そういった捉え方をすることで、自らの成長や進歩が妨げられるおそれがある。上司(または他のだれか)が今度あなたの仕事を批判した際には、その仕事が誰か他の人によって行われたものだと考えるようにしよう。そして、第三者としてその仕事をチェックし、寄せられた批判の妥当性を検証するのである。
優秀な上司であれば、あなたの成功が自身の成功に結びついていることを理解している。したがって、上司はあなたがうまく仕事をこなすことに関心を持っているはずだ。さらに、上司からの批判は、その上司があなたに大きな期待を寄せているということの現れでもある。わたしは初めて仕事に就いた頃、できそうもない仕事を上司から与えられて困惑したことがある。そして、そのことについて、自分と同じ分野で働いていた父の友人に相談したのだった。もう何年も前のことになるが、その人の言葉はいまだに覚えている。彼は「カルビン、[上司の名前]は、君がその仕事をうまくこなせると考えたからこそ、それを君にやらせたのだよ」と言ったのだった。
#8:あなたの上司にも上司がいるということを忘れない
あなたの上司の目標を知っておくことの重要性については既に述べた。#8はこの話の延長線上にある。あなたの上司にも上司がいるということを忘れないようにしよう。上司とあなたは、上司の上司を満足させ、上司を優秀な人材に見せるという共通の目標を持っているため、この事実を基にして上司と協力関係を築くことができるのだ。そして、こういった協力関係を築いておくことで、上司に対するあなたの印象を良くするとともに、上司の上司に対する認知度を上げることもできるのだ。
#9:皆の前で上司の間違いを指摘しない
皆の前で上司の間違いを指摘すると、あなたの今後のキャリアに影響が出るおそれがある。したがって、ある人がわたしの父に対して行ったような、他人の見ているところで上司の間違いを指摘しようとすることは避けた方が無難だ。父があるグループに対してプレゼンテーションを行っていた時のことである。そのなかでWorcester Polytechnic Instituteに言及した際、父は“Woo-ster”(ウースター)と正しく発音した。ところが問題の人物が立ち上がり、「ウェリントン、あなたは間違っている。正しくは“Woo-ches-ter”(ウーチェスター)だ」と発言したのだ。幸いなことに、わたしの父は賢明な人物であったため、「すまない。勘弁してくれ。英語はわたしにとって第5言語でしかないのだ」という答えを返すことで、その発言を受け流した。父はユーモアを交えることで、険悪なムードになることを避けたのだった。しかしわたしはその後何年にもわたって、父からこの話を聞かされている。このことから、過ちを指摘したその時の発言と、その発言者について父がどう思ったかを知ることができるのだ。
他人の前で上司の過ちを正しても構わない場合が1つだけある。それは、自身が間違いを犯したと上司が誤解している場合である。例えば、あなたの上司がプレゼンテーション中に何らかの数値を挙げたと想定してほしい。その上司がそこで話を中断して「失礼。間違えたようです」と言ったとしよう。もしも、上司の挙げた元々の数値が正しかったとわかっているならば、その時点で割り込み、「いいえ、[上司の名前]のおっしゃったとおりです」と発言しても構わない。
#10:必要なときには上司をコントロールする
キャリアを向上させるためには、仕事を命じられるまでただ漫然と待っていてはいけない。イニシアティブをとり、チャンスや解決するべき問題を探さなければならないのである。その際には、上司が持っているかもしれない組織力を利用するべきだ。上司に対して自らの計画と、それを認めることがビジネス上の優れた決断となる理由を説明するのである。その後上司に対して、ぶち当たるかもしれない官僚主義の壁と闘い、露払い役を務めてくれるよう頼むのだ。そうすることで、あなたは上司の上司たる所以を認めている。しかし同時に、自分に欠けているであろう影響力を利用しているという点で、上司をコントロールしていることになるのだ。