彼らが安心して失敗できるようにしてやる
目的:失敗してもこの世の終わりではないことをオーバーアチーバーに教える
オーバーアチーバーはリスクを引き受けるのが好きであり、しばしば非現実的な目標を掲げてがんばる。思考パターンからして、彼らは失敗するのは嫌いである。しかし実際には目標を高く設定しすぎるあまり失敗してしまうケースが多い。どんな失敗でも彼らには引け目を感じる原因となることがある。賢明なマネージャーであれば、失敗したことで従業員を罰するのではなくて、従業員が失敗を受け入れられるように導いてやるべきである。以下に失敗をしてもかまわないというメッセージを強化するための方法をいくつか紹介する。
失敗も学習体験の一環であると認識させる。IBMは社内指導教育プログラムでオーバーアチーバーに失敗の持つ価値と過ちから学ぶ方法を教えている。IBM Global Technology ServicesのゼネラルマネージャーであるElizabeth Smith氏は、自分が設計したプログラムがアジアで良好な結果を生まなかったときにこの研修のおかげで助けられたと述べている。以前ならフラストレーションのためにきつい仕事を放り出してしまったかもしれないが、IBMの支援環境のおかげで小さな修正を施し、米国で首尾良くプログラムを導入することができた。
彼らの豊かなアイデアを活用する。オーバーアチーバーに対して(ついでに言えば、その他の誰に対しても)絶対に彼らのアイデアが悪いとか非現実的であるとか批判してはならない。オーバーアチーバーはとりわけ批評に対して敏感であり、1回の厳しいコメントによって彼らの創造性が永久に閉ざされてしまうこともある。さらに、プランニングやブレーンストーミングの段階で出された「悪い」アイデアがプロジェクトの成功に結びつくケースも多い。救世軍の最高情報責任者(CIO)であるClarence White氏は、あえて2人のオーバーアチーバーを採用した。彼らがそれぞれ異なる考え方をする人物だったからである。その1人はしばしば奇想天外なアイデアを思いつき、もう1人がそのアイデアをすばらしい構想として実現するのだった。
自信を強化してやる。オーバーアチーバーは失敗すると自信がいたく傷つけられる。そのような場合には彼らが持っている長所を思い起こさせ、自信を回復してやることだ。ClearstoneのQuigley氏は1998年に、企業がターゲット市場でオンライン広告スペースを検索できるウェブポータルに資金を提供した。しかし2000年後半になるとインターネット広告市場が急激に勢いを失ったため会社は閉鎖に追い込まれた。Quigley氏はその最高経営責任者(CEO)を別の企業のトップに据えた。Quigley氏の助けによってそのCEOは自分の能力に対する自信を強め、新しい会社をうまく率いることができた。