F5ネットワークスジャパンは1月24日、ファイル/ストレージ仮想化ソリューションである「F5 Acopia ARXシリーズ」に関する事業展開について明らかにした。同シリーズは、2007年12月11日より国内販売が開始されている。価格は660万円より。
同シリーズは、エントリーモデルの「F5 Acopia ARX500」、中規模向けの「F5 Acopia ARX1000」、データセンター向けの「F5 Acopia ARX6000」の3製品で構成される。全モデルで共通のオペレーティングシステムを採用し、エンタープライズクラスのストレージ管理とサービスを提供する。
Acopia Networksは、F5 Networksが2007年9月に買収を完了したファイル/ストレージ仮想化ソリューションベンダー。同社の買収によりF5は、同社が推進するアプリケーションデリバリネットワーキング(ADN)戦略をストレージ管理分野へと拡大した。
1996年に設立されたF5は、1997年よりウェブサーバの仮想化ソリューションを展開し、2004年にアプリケーションの仮想化を実現。ネットワーク上で利用されるアプリケーションに「安全性」「高速化」「安定化」を提供するADN戦略を確立した。
さらに、Acopiaの買収によりファイル/ストレージの仮想化を実現。ネットワーキングの仮想化からデータセンター間の仮想化まで、より広範なADN対応ソリューションを提供できる企業となった。
F5の代表取締役社長である長崎忠雄氏は、「法規制によるデータの長期保存義務や組織変更への迅速な対応、災害復旧などの“ビジネス的な要因”と、ストレージ利用率の増大やリソースの有効利用、レスポンス、柔軟性、拡張性の確保などといった“システム的な要因”の大きく2つがファイル/ストレージ管理の課題となっている」と話す。
この課題を解決できるのがF5 Acopia ARXシリーズの最大の特長。同製品を導入し、ファイル/ストレージ環境を仮想化することで、ファイル/ストレージ管理の煩雑性を解消し、快適な利用環境を実現。これまでの投資を最大限に有効活用することができるファイル/ストレージ環境を実現できる。
F5 Networksのデータソリューションマーケティング担当シニアディレクター、Kirby Wadsworth氏は、「F5 Acopia ARXシリーズを利用することで、ファイル/ストレージ管理タスクの自動化が可能。データのマイグレーション、ストレージのティアリング、負荷分散などのタスクを、システムの設定を変更することなく実行することができる」と話している。
たとえば、データのマイグレーションでは、異機種混合のストレージ間のデータ移行をシステムを停止することなく行うことが可能。米国のある金融サービス企業では、80以上のファイルサーバをダウンタイム無しにNASに移行したという。
また、ストレージのティアリングでは、あまり利用されないデータを安価なストレージデバイスに自動的に移動させることが可能。ドイツの展示会運営会社であるMesse Dusseldorfでは、ストレージ環境をティアリングすることで、ディスク使用領域を50%削減し、バックアップ時間を14時間から3時間に短縮している。
さらに、ロードバランシングにより、グリッドやアプリケーションにおけるパフォーマンスのボトルネックを解消し、ダイナミックなプロビジョニングを実現可能。warner music groupではロードバランシングにより、生産性を560%向上し、運用管理コストを20%削減している。
「ファイル/ストレージ環境は年々増大しており、もはや人手で管理することが困難になっている。米国の調査でも、増大するストレージの管理やバックアップ、管理コストなどを、いかに最適にできるかが大きな課題になっている。(F5 Acopia ARXシリーズは、)テクノロジによりテクノロジの管理を自動化することで、この課題を解決することができる」(Wadsworth氏)