ASP/SaaSの国内ライセンス数は8割増
2006年度では、90社、124サービスでの応募だったが、今回の2007/2008年度は1社1サービスのエントリー制に移行し、最終的な応募総数は122社(ASP/SaaS部門:96社、IDC部門:26社)に増加した。有識者から成る選考委員会を各部門に設置し、2007年10月頃から審査を開始。
第一次審査で34社(ASP/SaaS部門のみ)、最終審査で28社(ASP/SaaS部門:18社、IDC部門:10社)と絞られ、今回の受賞式で初めて総合グランプリ以下が公開された。
評価は、ASPICが検討した基準項目に従っている。ASP/SaaS部門では国内ライセンス数やその伸び率、SLAの有無、技術力、独自性、社会貢献、直接コスト効果など13項目で審査。また、IDC部門ではラック数やその稼働率、災害対策、監視レベル、UPSや発電機などの設備状況、情報セキュリティ、環境や地域への貢献などの21項目で選考を重ねた。
ASP/SaaS部門の状況を見ると、サービスが堅実に拡大していることがわかる。応募があったサービスの国内ライセンス数は、2007年6月時点で平均1万16ライセンスとなり、前年対比の伸び率は平均で181%となった。また、IDC部門に応募した企業では、平均ラック数が1260ラック、平均稼働率は07年12月時点で70%になっており、今後増床を予定する企業も多いという。
授賞式で挨拶したASPIC会長の河合輝欣氏は、その背景について、「ブロードバンド環境が整い、サービス内容の進展とともに、ユーザーニーズがより明確になっていることが原因。また、総務省との合同で設立したASP・SaaS普及促進協議会の貢献もある」と分析する。
総務省のASP・SaaSの情報セキュリティ対策に関する研究会による「ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示指針」の公表(2007年11月)や意見募集、あるいは総務大臣による「ICT生産性加速プログラム」の公表(2007年6月)によるASP・SaaSの普及促進策によって、ユーザーの関心を高めた結果だという。
「ネットワークでサービスを利用する傾向が再び盛り上がりを見せる中、ASP/SaaSが社会に浸透し始めていることを実感している。事業者やサプライヤー、またそれらのユーザーに対し、より重要な社会インフラとなるよう、今後も普及・推進していきたい」という河合氏は、当初予想された年率30%から、倍の伸び率で成長するのではないかとの見方を示した。