IDC伸び率も3〜5割増加
また、MM総研の代表取締役社長および国際大学グローバルコミュニケーションセンターの教授で、当アワードの総合委員長を務めた中島洋氏は、「昨年を上回る数もさることながら、今年は質の向上が顕著になった」と変化に驚き示す。
最終選考に残った企業から、全く新しいサービスが具現化されているケースが多かったことや、企業が自社や自社の顧客のために開発したアプリケーションやデータ資源を、ネットワークを通じて広く社会に開放する動きなどが目立ったという。
「海外に進出するサービスのグローバル化や、従来は中小企業のIT化に貢献すると注目されていたASP/SaaSが、大企業でも利用するマインドが拡大している傾向も見られる」(中島氏)
今年から設けられたIDC部門は、ASP/SasSのセキュアな利用環境においてデータセンターの信頼性が重要となることから新設された。だが、IDCは自前の場合を除き、どこを利用すべきか判断が難しいことが多い。そのため、良いサービスの実現に向けた評価項目の確立が目的でもある表彰制度が、適切なデータセンターの選択への道筋になるのではないかと考えたという。
「驚いたのは、一般にあまり知られていないデータセンターが多く存在すること。また、意外な地域に建設されている事実だった。IDCへの需要が急速に拡大しつつある中、稼働率も年率30〜50%の伸び率で増加している感じを受けた」(中島氏)
なお、授賞式には総務副大臣の佐藤勉氏も駆けつけ、「ASP/SaaSの普及は、わが国の経済活動の向上と成長力につながるものとして大きく期待している。これまでのASPICの活動を知り、ASP/SaaSが大手企業のみならず、経済の底辺を支える中小企業にも望みを与えるものとして、日本の産業を救うのではないかという印象を受けた。総務省としてもできる限りの支援をすべきと考えている」と述べている。
総じて、選考委員からは今回最終審査にノミネートされたサービスには大きな差がなかったという今回のアワード。グランプリを獲得した企業にはどんな差別化要因があったのか。次回(後編)で詳しく見ていくことにする。