「これは、それぞれの技術者が自分の仕事や役割をどう捉えるかという点で大変重要な戦略の変更だ」(Ozzie氏)
Microsoftの幹部らは、Open Document Format(ODF)標準には特に言及しなかった。ODFはMicrosoft Officeの文書形式に代わるフォーマットで、特にデータの長期保管に関心がある政府顧客の間で注目を集めている。
しかし、Microsoftは他の文書フォーマット用のアドインを作成するためのAPIをOffice 2007に追加すると発表した。これにより、エンドユーザーは標準で別のフォーマットでの保存が可能になる。顧客が作成したデータがそれらのデータの作成に使用されたプログラムよりも長く存続する場合が少なくないことから、データポータビリティの重要性が高まっている、とOzzie氏は指摘する。
またMicrosoftの知的財産権担当バイスプレジデントであるHoracio Gutierrez氏はインタビューで、21日の動きは、それが法的な要求事項であったことと、同社が相互運用性の商業的重要性について「学んだ」ためだと説明した。
またGutierrez氏は、オープンソース開発者を提訴しないとする同社の誓約について、商用ソフトウェアの場合と非商用ソフトウェアの場合とで区別すると付け加えた。
公開されるMicrosoftのプロトコルを基礎とする製品を開発する企業は、(Microsoftと提携している)NovellやXandrosなどのLinuxベンダーと同様、Microsoftの特許技術のライセンスを取得する必要がある。知的財産権は合理的かつ非差別的条件の下で利用可能となり、特許使用料も高額ではない、とGutierrez氏は語る。
しかし、以前からMicrosoftを敵視してきた企業や組織は、同社の今回の動きに対し懐疑的な見方をしている。
Reutersの報道によると、欧州委員会は、「(今回の発表と)Microsoftがこの分野で過去に欧州連合の規則に遵守していたか否かの問題とは無関係」と語ったという。
またロビー団体のEuropean Committee for Interoperable Systems(ECIS)は、「世界にとって必要なのは、Microsoftの行動の永続的変化であって、単なる発表ではない」と述べている。
LinuxディストリビューターRed Hatの法律顧問を務めるMichael Cunningham氏は、今回のMicrosoftの発表について、同社はオープンソース開発者を提訴しないと誓約したが、その対象が非営利の開発者に限られていることから、「オープンソースコミュニティーから競争を排除するために慎重に練られたようだ」と語った。
さらに、Microsoftがこのタイミングで発表を行ったのは、ファイルフォーマットの国際標準化プロセスが加速する中、2月中に行われるMicrosoftのOffice Open XMLを国際標準として承認すべきか否かを決する投票の結果に影響を与える意図があったのではとする見方もある。