マイクロソフトは2月28日、現在代表執行役 兼 COOを務める樋口泰行氏が4月1日付けで代表執行役社長に就任すると発表した。
樋口氏は1957年生まれの50歳。松下電器産業やアップルコンピュータを経て、1997年にコンパックコンピュータ(現日本HP)に入社、2003年に日本HPの社長に就任した。その後、2005年5月から2006年10月までダイエーの社長を務め、2007年3月に代表執行役 兼 COOとしてマイクロソフトに入社した。入社当時より「次期社長」との声が高く、現在代表執行役社長を務めるDarren Huston氏と共に同社を率いてきた。
樋口氏は、2007年7月に代表執行役 兼 COOという役職に加え、ゼネラルビジネス担当となっていた。それが、2008年2月1日付けで再度ゼネラルビジネス担当を離れ、同担当には樋口氏の古巣となる日本HPより新たにマイクロソフトに入社した窪田大介氏が就任していた。
社長就任の正式な打診があったのは「2月の2週目あたり」と樋口氏。就任にあたって同氏は、「あらためて身の引き締まる思い。私のこれまでの経歴はハードウェアが中心だ。ソフトウェアという新しい世界、しかもビジネス分野が多岐に渡るマイクロソフトにおいて、入社から1年間の移行期間を与えてもらえたことに感謝している」と述べた。
2005年7月より社長を務めていたHuston氏は、米国本社のコーポレートバイスプレジデント コンシューマー&オンライン インターナショナルグループ担当に就任する。新規部署の立ち上げとなり、同社期末の6月を待たずして現職を樋口氏に引き渡した上で新事業に取り組む。
Huston氏は、就任時より日本における3カ年計画として「Plan-J」を推進していた。3年が経過した現在、「計画は順調に進み、大変満足している」とHuston氏。Plan-Jを振り返って同氏は「市民活動への投資が倍増したほか、国内に新たな支店もオープンさせた。また、米国に次いで2番目に大きな市場であるにもかかわらず、日本に投入されていない製品が多かったが、Microsoft Dynamicsの国内リリースや、Windows Mobile搭載の携帯電話端末の発表など、製品ラインアップも拡充できた。さらには、Windows Digital Lifestyle Consortiumの立ち上げをはじめとするパートナーシップの強化ができたことは非常に嬉しいことだ」としている。
樋口氏は、Huston氏のPlan-Jを拡張した形で新たな戦略を立てることになる。今後注力したい分野のひとつとして同氏は、「開発者のコミュニティとの連携を強化したい。技術文書などでローカライズされていない文書も多いため、そういった面でも技術者を支援することは重要だと考えている」と述べた。
ソフトウェアベンダーとハードウェアベンダーの違いについて問われた樋口氏は、「ソフトウェアはハードウェアほど在庫に神経をとがらせなくてもよいが、結局ソフトウェアベンダーもハードウェアベンダーも、企業体制や考え方などにおいて、顧客にいかに信頼してもらえるかが重要となる。その点に変わりない」と述べている。その上で、「日本の顧客、パートナー、社会のすべてに信頼される企業になるということがPlan-Jの根幹にあった。Hustonが築いたこのベースを元に、引き続き『顔の見える企業』『親しみの持てる企業』を目指したい」とした。