iPod並の使いやすさをERPにも--現場にこだわったクレオの「CBMS ZeeMシリーズ」 - (page 2)

山下竜大(編集部)

2008-03-13 20:54

 現場を強くするためのITとは、現場の効率化を実現し、必要な情報をいつでも取り出せる状態にしておくということ。単純な作業の繰り返しはITにまかせ、知的な生産性の部分は人間が行うという切り分けが必要になる。

 大矢氏は、「よくあるのは、現場がITに振り回されているという状況であり、これは避けなければならない。そこで作業の時間をいかに短くするかが現場を楽にするための最も重要な機能になる」と話す。

 しかし、使いやすさといってもさまざまだ。大矢氏は、CBMS ZeeMシリーズの目指す使いやすさについて、次のように語る。

 「昔のオーディオは、操作も組み立ても難しく、マニアでなければ使いこなせないものだった。しかし、iPodをはじめとする現在の携帯音楽プレーヤーは、マニュアルを見ることなく、直感的に使うことができる。また、コンパクトで低価格だ。CBMS ZeeMシリーズでは、ERPでiPodの使いやすさを目指している」(大矢氏)

 こうしたクレオの取り組みは、ユーザーからのフィードバックに基づいている。「CBMS ZeeMシリーズは、CBMS時代から考えると14年の歴史を持つERPパッケージだ。顧客の要望に対応してきた経験やノウハウが機能やインターフェースに凝縮されている」と大矢氏。

 特に財務会計は、ほかのシステムとの連携が多いので、パッケージ単体で使いやすいのはもちろん、ほかのシステムとの連携を容易にすることも重要なポイントだ。ほかのシステムとうまく連携できなければ、同じデータを2回入力しなければならないなど、人の手を介することが多くなる。

 そこでCBMS ZeeMシリーズでは、データの入力から報告書の作成まで、シームレスに連携し、作業量を少なくするためのさまざまな工夫がなされている。

 たとえば、2007年12月に発表された「ZeeM 購買管理ソリューション」は、CBMS ZeeMシリーズの会計/固定資産機能との自動連係が可能な各種テンプレートを提供することでCBMS ZeeMを活用した購買管理ソリューションを実現。最初のユーザーとして、ヤフーが採用を決定している。

使いやすさの向上とモバイル対応、SaaS化が今後の計画

 クレオでは今後、CBMS ZeeMシリーズにおいて、さらなる使いやすさの向上やモバイル対応、そしてSaaSビジネスの確立を目指している。

 大矢氏は、「個人向けの携帯電話はすでに行き渡っている。今後は、企業向けのニーズにいかに対応していくかが大きなポイント。これに対し、必要なサービスを模索し、実現していきたい。各キャリアとの連携も視野に入れている」と話す。

 同社はまた、CBMS ZeeMシリーズをベースとしたSaaSビジネスを確立していく計画だ。SaaS化の計画では、会計や人事給与といった基幹系のシステムより、ポータルなどを中心とした情報系システムがまずはスタートとなる。

 大矢氏は、「情報系システムを中心としたSaaS化をパートナー企業と協力して確立したい。その後、会計などの基幹系システムと連携するSaaSを実現していくのが現実的だ。SaaS化の流れは止められないが、本格化するにはまだ数年かかるだろう」と話す。

 「経営者の立場としては、セキュリティや可用性がしっかりしていて、使いやすければSaaSに移行した方が効率的だと思っている。ただ、ビジネスとして見た場合には、早すぎても、遅すぎてもメリットが少なくなる。好機を逃さないためにも、しっかりとした計画と準備を進めていきたい」(大矢氏)

 大矢氏は、「使いやすさであれ、SaaS化であれ、CBMS ZeeMシリーズはユーザーにとって常に合格点が取れる製品でありたいと思っている。製品単体で勝負するのではなく、周辺のソリューションと組み合わせて最大の価値を生み出せる製品を目指していきたい」と話している。

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