日本オラクルは4月3日、公益業界に向けた戦略と、同業界に特化した製品を発表した。米Oracleでは2006年11月に、電力、ガス、水道などの公益サービスに特化したソフトウェアを提供するSPL WorldGroupを買収しており、SPL関連の製品を日本でも提供開始する。
Oracle ユーティリティグローバル事業部 シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのQuentin Grady氏は、公益業界におけるITの課題として、統合がカスタム作業となりコスト高であることや、インターフェースおよびアーキテクチャがばらばらなこと、サービス、サポートが分断されていることなどを挙げ、「統一されたOracle製品を使えば、標準技術を活用し、統合したパッケージアプリケーションへの移行が可能となる」と述べた。Grady氏は、SPLでエグゼクティブバイスプレジデントを務めていた人物だ。
公益業界向けの製品は、「Oracle Utilities」というアプリケーション製品群として提供する。Oracle Utilitiesは、インフラとなる「Oracle Database」、「Oracle Fusion Middleware」、「Oracle Applications」を中心に、公益事業特有の機能を備えた料金・顧客管理アプリケーション「Oracle Utilities Customer Care and Billing」や、メーターデータ管理アプリケーション「Oracle Utilities Meter Data Management」で構成される。海外ではすでに44社以上が導入しているという。
日本ではまず、料金設定や顧客管理などの機能を備えたOracle Utilities Customer Care and Billingを同日より提供開始する。これは、電気、ガス、水道事業の販売業務に必要な料金設定、マーケティング、販売、顧客サービス、契約管理、検針、請求管理、メーター管理、出向作業などの機能を提供する。また、今後発売予定のOracle Utilities Meter Data Managementは、公益業界固有のメーターデータ管理、負荷プロファイリング、従業員管理、資産管理、企業間取引などの機能を備えている。
日本オラクル 常務執行役員 エンタープライズアプリケーション営業統括本部長の桑原宏昭氏によると、日本でもすでに公益業界向けの担当者が数十名いるという。同氏は、「人口の減少や、オール電化住宅の登場、エコ対策など、公益業界が直面する課題はいろいろある。それをITでいかに支援するか考えていきたい」と述べた。