ITプロジェクトの失敗はよくあることだ。だが、どういうわけかこの事実は、自らがIT問題とは無縁であると考えているプロジェクト関係者たちから、驚きをもって迎えられることが多いのだ。私の経験から言えば、失敗の大半は近視眼的なものの見方や、ビジネス面と技術面の双方における複雑さ、貧弱なマネジメントによって引き起こされる。ともかくも、失敗の確率を引き下げるためにプロジェクトリーダーができることを以下に紹介したい。
以下は、『Baseline』誌がまとめた、ITプロジェクトを失敗に終わらせないための8つのヒントである。
- ソフトウェアに頼りすぎないようにしよう。多くのプロジェクトマネージャーは、プロジェクト計画アプリケーションの使用に時間を割きすぎており、自らの双肩にのみかかっているはずの説明やコミュニケーションに十分な時間を割いていないのだ。
- 計画や定義はできる限りしっかりやっておこう--ただし度を超さないように。完全主義者は、自らの持てる時間すべてを計画段階で使い切ってしまう可能性がある。すべての変動要素を予測する方法などないため、どこかの時点で見切りをつける必要があるのだ。
- スコープクリープを現実のものとしてきちんと管理しよう。あなたの考えていたプロジェクト目標は、プロジェクトの完了時には大きく異なったものとなっていることもあるという事実と向き合い、プロジェクトを進めていく必要がある。
- リスク管理をなおざりにしないようにしよう。事前にリスク管理を行い、失敗の芽をすべて摘み取ってしまうべきである。これは、契約しているベンダーが今まで信頼に応えてきたかどうかとは別の話である。リスク分散を目的として複数のベンダーと契約することで、話がややこしくなる可能性はあるものの、(あるベンダーがミスを犯したとしても)プロジェクトが救われるということになるはずだ。
- 考えられる展開を把握しておこう。ベンダーやコンサルタントから最善の展開、最もあり得る展開、最悪の展開を聞き出した後、集約されたリスクとあなた自身のリソースを考え合わせて、妥当な展開を推し量るのだ。
- 自信を持って統率しよう。あなたやチームが文書化し、議論したアプローチからできる限り逸脱しないようにするのだ。計画が適切に行われているのであれば、あなたのチームは、問題が拡大して大きな障害となる前にそれに対処することができるはずである。
- 介入の準備をしておこう。プロジェクトの開始前に介入計画を作成し、直接的あるいは間接的にプロジェクトに関わる利害関係者全員にその計画を説明しておくのだ。
- ユーザーのテクノロジ利用を推進する力となろう。ユーザーの教育や訓練には必ず参画するようにすべきである。
こういったことは、プロジェクトマネージャーが実践すべき優れたプラクティスの基本を知るためのヒントとなる。しかし、机上のヒントと、実際のプロジェクトにおいてそれらを現実的に実践することとの間には大きな隔たりがある。理論は重要であるものの、最終的にはプロジェクトリーダーがプロジェクトの統率、管理を実際に行わなければならないのだ。
あまりにも多くの利害関係者たちが、プロジェクトマネージャーのことを、プロジェクトの失敗時に責任を転嫁できるお手軽なスケープゴートだと考えている。プロジェクトマネージャーにとっては、適切に計画するとともに、断固としてベストプラクティスを主張することが、こういったことを避けるための最善の道となるはずだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ