「機能をよく理解して使えば、できないことはないのではないでしょうか」--4月中旬に正式にリリースされた「Windows Server 2008」について、先行評価の感触をこう語るのは新潟市に本社を置く栗山米菓、グループ本社総合企画担当チーフリーダーの武田勇人氏だ。
栗山米菓という社名をすぐに思い出せなかったとしても、ロングセラーのヒット商品「ばかうけ」の製造元といえば多くの読者がご存じだろう。武田氏によれば、同社は「できることは自分たちでする」「まずやってみる」という進取の気象に富んだ社風であるといい、社内のITシステム全般の構築や管理についても、できる限り自分たちで手がけているという。これには、武田氏自身がマイクロソフト認定エンジニアの資格(MCSE/MCDBA)を有しているという理由もある。
仮想化コストの削減を目指してHyper-Vを評価
同社にはWindows Server 2003ベースで構築されている統合的な社内システムがすでにある。本社を中心にサイト数で約40カ所、物理サーバは本社と工場を合わせて7台、クライアントは200台におよぶシステムを数人のIT担当者で構築したという。
利用分野は多岐に渡る。ファイル共有やメールといった情報系インフラとしての利用はもちろん、財務会計、原価管理、人事、給与、販売情報分析といった重要な基幹システムも含まれる。
「当社には情報システム部門がないのですが、それがかえって幸いしたのかもしれません。現場の抱えている問題や、やりたいことがすぐに経営陣に伝わる。すると『まずやってみろ』という社風ですから」(武田氏)
こうした環境も手伝って、同社ではサーバ仮想化の技術もいち早く導入した。従来はVMwareの製品を使い、7台の物理サーバを仮想化して複数の用途に利用していた。そこではライセンス更新などのコストが発生していたのだが、Windows Server 2008でHyper-Vと呼ばれる仮想化機能が標準で組み込まれるのを知り、評価版を開始した。
「試験的に稼動させてみたところ安定して動くことがわかったので、2008のリリースにあわせて全面的に移行することに決めました。自社で独自にベンチマークを行ったところ、VMwareとくらべてディスクアクセスで20%ほど速度が向上したという結果も得られている」と武田氏は評価する。